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公開日:2026.01.01
元旦号特別対談
新体制で描く、地域医療の未来
横浜総合病院 平元周理事長×岩渕聡病院長
昨年4月、横浜総合病院は岩渕聡氏を新病院長に迎え新体制へと移行した。深刻な経営環境や医師不足という逆風の中、長年「断らない医療」を掲げてきた平元周理事長と、大学病院での豊富な経験を持つ岩渕病院長に、組織改革の狙いと地域医療への決意を語ってもらった。(司会進行/本紙)
――岩渕先生が病院長に就任されました。この新体制の狙いは
平元 今、地域の民間病院は経営的に非常に苦戦しています。その中で、東邦大学医療センター大橋病院の病院長を経験された岩渕先生に、経営の舵取りをお願いしました。これまで当院は「救急を断らない」という姿勢を貫いてきました。ソフト面では大学病院に匹敵する医療を目指してきましたが、岩渕先生には、その土台をさらに発展させてほしいと考えています。
岩渕 私は脳神経外科医ですが、平元先生には若い頃から大変お世話になってきました。私個人のみならず、東邦大学の教室員も当院でご指導いただくなど、非常に長いお付き合いがあります。たまたま昨年3月に大学を定年退職するタイミングでしたので、お声をかけていただきました。
――就任されて、最初の印象はいかがでしたか
岩渕 平元先生の「地域住民を支える」という強い意志が浸透していると感じました。青葉区は日本でも指折りの高齢化率が高い地域だそうですね。老人ホームや介護施設が多いこの地で、高齢の患者さんを「断らない」と一貫して提唱されてきた平元先生への、地域の方々の信頼を日々実感しています。
――経営的・組織的課題をどう捉えていますか
平元 これからは組織力を高めなければなりません。一人ひとりの職員やドクターが「自分たちに何ができるか」を自律的に考え役割を果たす組織への強化が必要です。
岩渕 現状、職員全体が平元先生の看板にぶら下がっていた面があるかもしれません。個々人が目標を持ち、自分に何ができるかを主体的に考えていく必要があります。平元先生が病院の理念として掲げられている「心技一如」の精神を今一度、全職員が自分事として認識することが重要だと考えています。
平元 大学病院も民間病院も、今や8割9割が赤字と言われる状況です。物価が上がり、あらゆる材料費が高騰しているのに診療報酬は上がらない。機材を買い替えれば消費税がかかり、病院の持ち出しになります。国が医療政策としてメスを入れないと、地域の病院はどんどん潰れ、住民の命が守れなくなってしまいます。また、人材確保も大きな課題です。紹介業者を通すと、年収の2〜3割という多額の紹介料が発生し、これが病院経営を圧迫しています。特に神奈川県は、人口当たりの医師・看護師数が全国でも最下位に近い(47都道府県中医師数40位/看護師数45位)。若手の先生が自由なライフバランスを求めて美容医療や訪問診療グループに流れる傾向もあり、特に外科医の確保は全国的に困難を極めています。
――そのような苦境の中で、今後どのような役割を果たしていきますか
平元 最終的には患者さんが「自宅」に戻れる体制を作ることです。早期診断・早期治療を行い、介護施設とも連携しながら、ソーシャルワーカーや連携室の看護師が家庭の実情に合わせたベストな選択肢を提案していきます。
岩渕 明るい話題としては、当院では昨年から消化器外科の体制が強化され、ベテラン医師が3名加わってくれました。高齢者の多いこの地域でお腹の急患に対応できる体制が整ったのは大きな強みです。また泌尿器科では尿路結石の内視鏡治療の専門家が加入し、低侵襲な治療を提供しています。脳卒中や心臓の急性期治療と合わせ、当院で「何ができるか」を明確にし、地域を支えていきたいと考えています。
――お互いの印象は
平元 昭和の終わり頃、当時の第三北品川病院での繋がりがきっかけでした。岩渕先生は技術と知識はもちろん、大学病院の病院長として移転などの大変な時期を乗り越えてこられた。その経験値は素晴らしいものがあります。
岩渕 平元先生はお寺のご子息でいらっしゃって、医療に対して慈愛の塊のような方です。「自分が診なければ誰が診るんだ」という信念をお持ちで、まさに医者の鏡だと思っています。
平元 私は北海道の利尻島という無医村があった場所で育ちました。その時の「地域に医者は絶対に必要なんだ」という思いが私の原点です。
――今後の抱負についてお聞かせください
平元 病院を信頼して、何でも相談しに来ていただけるような、ハードルの低い場所でありたい。治療を求める方はもちろん、検査や「安心」を求めて来院される方、その両方に応えていく必要があります。「転ばぬ先の杖」として機能し続けることが、私たちの使命です。また、今後はより積極的に地域へ出ていきます。コロナ禍で中断していた市民向けの公開講座を昨年から再開し、病院をより身近に感じていただきたい。周辺には大学病院も多い激戦区ですが、「人間対人間」の温かさを大切にし、接遇の改善などにも取り組みながら一歩ずつ進んでいきたいと考えています。
岩渕 地域を支えるのが病院の使命ですが、同時に「地域からも支えてもらえる病院」でありたいと考えています。多くの病院が財政的に非常に厳しい局面にあります。補正予算や診療報酬改定の動きもありますが、物価高騰を診療費に反映できない構造の中、大幅な改善は見込めないのが実情です。今後はクラウドファンディングなど、新たな形でのご支援をお願いすることも検討しています。例えば、老朽化した救急車の更新など。地域全体で病院を支えていくという視点を、皆さんに持っていただけると大変ありがたいですね。
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