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緑区版 公開:2020年8月6日 エリアトップへ

戦争体験者の人生とは 2人の自分史から学ぶ

社会

公開:2020年8月6日

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登壇し戦争への思いを語った猿田さん
登壇し戦争への思いを語った猿田さん

 みどりアートパークで1日、戦争の体験者が自分史を紹介するイベントが開催された。

中国残留孤児の半生

 まずは、横浜市鶴見区在住で中国残留孤児の猿田勝久さん(76)の人生を紹介する映像が流された。映像によると、猿田さんは川崎市生まれ。2歳になる前の終戦間際に中国へ家族で渡った。当時、中国では「安定した暮らしができる」という噂があったからだ。

 新潟港から中国へ。だが、現実はまったく異なるものだった。現地の若者に荷物を奪われ、家族は裸同然の状態に。すべてゼロからの出発となった。その直後、終戦を迎えた。生活は貧しく、悪化の一途を辿っていった。お金もなく、病院にも行けない。「チビ日本人」と呼ばれ、いじめられていたという。その後、病気によって家族とも死別。中国人に育てられながら、40年間にわたり日本へ帰国することができなかった波乱万丈な人生が記録されていた。

 映像の後、猿田さんが登壇。会場の参加者から映像を見た感想や質問を受けていた。会場の参加者のひとりは、「大きなご苦労をされた。その分、長生きをして幸せになってほしい」という言葉も伝えられていた。

 猿田さんは「戦争は多くの人の命を奪う。そして、運命を狂わせる。財産を奪うだけでなく、心もずたずたにする。次の世代に語り継ぎたい。私のような経験を二度としないように。戦争のない平和な世界を築いてほしい。日本人と中国人、お互いに理解を深めていってほしい」と述べた。

 会場からは「戦争で普通の人の生活がめちゃくちゃになってしまうと感じた。戦争は本当にひどいことだ」という感想も聞かれた。

広島被爆者の半生

 後半では、広島県で軍医部の看護師だった16歳の時に被爆地点から3・5kmの場所で被爆した服部道子さん(91)の自分史映像が流された。

 映像では、突然「ピカッ、ドーン」というすさまじい音が響いた当時の被爆時のことを服部さんが振り返っている。奇跡的に服部さんは無事だった。その後、多くの人を手当てした。だが、手当てをして、一周して戻ってくると、亡くなっている人がほとんど。悲惨な状況だった。

「あっ、首がない」

 赤ちゃんを背負った女性が「助けてください」と歩み寄ってきた。だが、「あっ、首がない」。思わず、言ってはいけない言葉が口から飛び出した。その瞬間、母親は悲鳴をあげ倒れ、そのまま帰らぬ人となったエピソードなども映像で紹介されていた。戦後は被爆が原因の体調不良に自身も苦しめられた。被爆時だけでなく、その後の被爆者としての壮絶な人生も記録されていた。映像の最後には「『戦争がなかったら』と今も思う。私のようにいばらの道を歩む人がいなくなりますように。戦争がなくなることを願います」と話されていた。

 その後、本人が登壇する予定だったが、体調不良のため欠席だった。本人の代わりに服部さんと10年以上にわたり戦争の体験談を後世に残す活動をしている人が登壇。会場からの質問に答えていた。「自分をさらけ出して戦争のことなどを語ってくれたことに敬意を表したい」と感想を話す参加者もいた。

 イベントを主催した須摩修一さんは「深く戦争について考えてもらう場になったと思う」と振り返った。

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