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緑区 社会

公開日:2025.12.25

フリースクール
利用者へ補助広がる
不登校児童・生徒増 背景に

 不登校になる児童・生徒の増加を受けて、民間団体や個人が運営する「フリースクール」に通う子どもが増えている。一方で公立学校などに比べて保護者の経済的な負担が大きいことから、授業料の一部を補助する制度を設ける自治体も現れている。神奈川県も今年度から、こうした市町村を財政的に支援する仕組みをスタートさせた。

増加続く不登校

 文部科学省の調査によると2024年度、全国の小・中学校の不登校児童・生徒の数は35万3970人で、過去最多を更新した。10月29日に県が発表した「令和6年度神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校調査」でも、昨年度の不登校児童・生徒数は公立小・中学校合計で2万4250人に上り、昨年度より621人増加している。

 こうした中、新しい学びの場として注目されているのがフリースクールだ。はっきりとした定義はないものの、文部科学省のホームページでは「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」とされている。

 県内では神奈川県学校・フリースクール等連携協議会と連携している団体だけでも35カ所に上る。

 一方で民間が運営するため、公立学校などと比較すると保護者の経済的な負担は大きい。15年に文部科学省が行った調査によれば月額利用料(授業料)の平均は約3万3千円。1〜5万円程度の施設が多いとされる。

 コロナ禍に小学生だった子どもが不登校になりフリースクールを利用したある保護者は「経済的負担もそうだが、送迎などが必要となって仕事を続けられなくなるなど、生活への影響は大きい」と話す。

県内3市で補助制度

 独自に保護者を支援する自治体も増えている。鎌倉市は23年9月、フリースクールの授業料等の一部を補助する制度を導入した。その後、海老名市が24年7月、相模原市も今年10月から同様の仕組みをスタートさせている。

 こうした状況を受けて県は今年度、「神奈川県フリースクール等利用児童・生徒支援事業補助金」を創設。制度の最大の特徴は、フリースクール等に通う児童生徒の保護者を支援する事業を実施する「市町村」に対して、県が財政補助を行うこと。

 県担当者は「保護者や児童生徒により身近な市町村を支援することで、地域の実情に応じた支援ができる」とし、今年度は260人分3120万円の予算を確保した。

横浜市立学校での状況は

 横浜市は今年10月末、文部科学省による「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」のうち、横浜市立学校に関係する部分についての情報をまとめ、発表した。

 市の発表によると、調査は24年4月1日から今年3月31日までを期間とし、小中高校などを対象に実施。調査結果によると、横浜市立学校における24年度の長期欠席者数は小学校が6816人(うち不登校児童数4442人)、中学校が6229人(うち不登校生徒数5608人)、高校が707人(同249人)だった。前年度比では小中学校での不登校児童・生徒数は275人増、高校では54人減だった。

 長期欠席者やその保護者への今後の対応として、横浜市は「不登校および不登校傾向の児童・生徒の早期支援のため、個別の教育支援計画を作成・活用することで、児童生徒やその保護者との共通理解を図る。また、『ハートフルセンター上大岡』を中心とした保護者同士のつながりづくりなどに取り組んでいく」としている。

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