綱島市民の森 自然との共存に尽力 愛護会が国交大臣表彰
綱島市民の森愛護会(飯田助知会長)が先ごろ、花と緑の愛護に顕著な功績のあった民間団体に贈られる第23回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰に選ばれた。全国で87団体、横浜市内からは同会のほか、1団体が受賞。政令指定都市などの各長から推薦を受け、審査委員会で活動内容などが評価された形だ。
綱島市民の森は、綱島駅北西600mの住宅地の中に位置し、街中とは思えないほどの静寂さに包まれた場所として地域の人々に長く親しまれてきた。
同会は、綱島市民の森が開園した1991年に設立。市の委託を受けて、園の整備・管理を行ってきた。現在は31人の会員に加え、約30人のボランティアスタッフを中心に活動している。主に【1】パトロール、整備作業【2】植栽や花壇づくり【3】近隣の小学校の児童や子ども会を対象とした自然観察会、写生大会、野鳥観察会【4】広場での「綱島桃まつり」などのイベント開催――を、毎年定期的に実施している。「例えば小学生の子どもたちには、写生大会を通して森に親しみ、学び、楽しんでもらうことで、緑地保存の意味を体験してもらう機会になればと思い、取り組んでいます」と飯田会長は話す。
「人を呼び込まない」独自性
同会の基本理念は「独自性を大切にする」ことだ。例えば、一般的な市民の森とは違い、綱島市民の森は基本的に人をあまり呼び込まないという姿勢を取っている。「人が入りすぎると、地面や植物が踏み荒らされてしまう。自然は手を入れすぎてもいけないし、放っておきすぎてもいけない。バランスを取りながら、共存共栄できる環境をつくりたい」と飯田会長。
そのため、森周辺には道案内の看板が少ない。「看板がないことで、森を訪れたい人が地元の人に道を尋ねる(会話をする)きっかけが生まれる。自然を媒介にして、人々のコミュニケーションが生まれる機会ができる」。週2回は園内で同会の会員がパトロールを行っており、すれ違う人には声をかけるなどして交流の機会を作り出している。
また、一般的に木の種類を紹介するために掲げられていることが多い”ネームプレート”が、園内の植物には一切ない。これも、同会が考える「独自性」の一つだ。「森で出会った植物に対し、名前が一緒に提示されていたら、そこで学びは止まってしまう。『何ていう名前だろう。どんな植物なのだろう』と調べを進めることで幅は広がる。自然に親しんでもらうためのきっかけになれば」との思いだ。
飯田会長は「日頃の地道な活動が評価され受賞に結びついた。関係者の方々と喜びあいたい」と話す。
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