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港北区 人物風土記

公開日:2015.09.03

平成27年度横浜マイスターに選出された
田中 利男さん
師岡町在住 76歳

”生涯職人”がモットー

 ○…市内で活躍する卓越した技能を持った技術者を称する同賞の選出を受け、「光栄さと同時に、責任の重さを感じる。名誉に恥じない振る舞いをして市民に貢献したい」と話す。「田中建具店」の3代目として住宅や神社仏閣の建具、繊細な組子細工を多数手がけた実績と、組合の理事長などを歴任した経歴が評価された。

 ○…「百点満点の作品が作れない奥深さがこの仕事の魅力」と笑顔を見せる。組子細工は切れ込みをいれた木材を、正確に組み上げることで様々な模様を障子や欄間(らんま)などの建具にあしらう技術。作業のほとんどを手作業で行う為、常に細心の注意と確かな技術が要求される。中学卒業後から建具の修行を始め、組子と出合ったのは20歳の頃。世田谷の職人の指導を受けた際に出合った見事な花形組子に心を奪われたという。「衝撃だった。そこからいくつもの作品を作っていますが、いまだに最高の出来にはたどり着けません。だからこそ探究心が沸き面白い」

 ○…昔から、黙って手を動かすいわゆる職人気質。「長男なので、家業を継ぐのが当たり前」という感覚で育ったという。「昭和40年頃、私の修業時代は木造住宅がほとんどだったので、色々な仕事に出合えて充実していた」と懐かしむ。休みの日もついつい作業をしてしまう。「どこにも出かけないから妻は呆れちゃってますね」と苦笑い。最近の楽しみは孫と遊ぶこと。もうすぐ4歳になるので、三輪車を作ってあげたいと目を細める。

 ○…現在は4代目を継ぐ息子と2人で作業をしている。「まだまだ教えることはたくさんある」と職人としての厳しさを覗かせる。今後は横浜マイスターとして体験教室や実技披露などの場を設け、若い人や外国人に魅力を伝え、後継者を探していく。「これからも生涯現役をモットーにまだまだ作品を作っていきたい」と衰えを見せない、熱い思いを吐露した。

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