地域の要望等を受け今年1月に市内11カ所目の図書取次所として開所した「日吉の本だな」の利用状況が順調に推移している。立地等が異なり単純比較はできないものの市内他区の図書取次所開設時と比べ、利用者数・貸出冊数が最も多いといい、地域にとっての関心の高さが伺える。
日吉の本だなは、慶應義塾大学日吉キャンパス内「協生館」1階にあり、インターネット上で予約した横浜市立図書館の蔵書本の受取り・返却ができる施設。大学キャンパス内に設置される市内初の図書取次所としても注目されていた。
既設の港北図書館は区の南部エリアにあるため、北部エリアにおける図書館サービスへの高いニーズを背景に整備され、開所式では、当時の区長が「区北部の人にとって長年の悲願」とあいさつした。
1月19日の開所以来、3月までの利用者数は約9500人、貸出冊数は約2万100冊だった。一方、旭区や戸塚区の図書取次所の開所時、2005年12月〜06年2月の利用者数はそれぞれ約1800人・約3500人、また、貸出冊数は約3400冊・約6400冊。開設時期や立地等が異なり単純には比較できないが、これらの施設開所時の数を大幅に上回り、所管の教育委員会事務局中央図書館担当者によると、開設3カ月の利用者数・貸出冊数は、市内の他の図書取次所と比較して最も多い。
3月まで1千人超が登録
日吉の本だなでは、出張登録会開催日には図書館カードの登録ができる。開所日の1月19日を皮切りに、はまかぜ号が来るイベント日を含め、3月までに計10回の登録会を行い、合計1234人が手続きをした。港北図書館職員の話では、「一カ所の図書館での年間登録数が1000以下のこともある」という。
また、2021年度の港北図書館の利用状況をみると、利用者数・貸出冊数の月間平均は約2万100人・5万9200冊で、1〜3月の平均は約1万9600人・5万7600冊。前年1〜3月の月間平均約1万9200人・5万7100冊との比較からも日吉の本だな開設による港北図書館利用者の減少はみられず、図書取次所の整備が地域の要望を反映している様子が伺える。同担当者も「関心、ニーズの高さが数字に表れている」とみている。
「週に一度は来所」
4月21日の午後3時ころ、日吉の本だなを訪れた日吉本町在住の女性は、施設開所前は、2週間に一度、川崎市中原区にある図書館を利用していたが、今では日吉の本だなに頻繁に来所するようになった。日吉の本だな開所時に取材した男性も、「それまでは中原区の図書館を利用していた」と話していた。
また、21日の同時刻に日吉本町から来た主婦は、自宅から離れた港北図書館は利用せず、以前はよく古本を購入していた。今では週に一度は来所し、絵本や写真集を借りる。「一番借りたい小説は順番待ちのことが多いので、絵本等を借りながら、(小説の)番が来るのを待っている」と話した。
日吉の本だなの職員の話では、利用者からは「日吉には取次所がなかったので、とても便利になった」といった声をかけられる。午前中は親子、夕方は小学生や会社員の利用が多く、高齢者の利用はどの時間帯にもみられるという。
日吉の本だなでは、本の貸出・返却だけでなく、それぞれテーマを設けた企画展示等も行っている。4月26日までは「もっと知りたい!日吉のこと、横浜のこと」と銘打ち、日吉・横浜の郷土資料を集めた。
企画は中央図書館と港北区役所、港北図書館が連携して実施している。「いろんな本に出合えてうれしい」「子どもへのおすすめ本が並んでいて選びやすい」などの声が寄せられており、港北図書館の石合智晃館長は「施設のPRのためにも、これからも皆さんの興味ある企画展示を行っていきたい」と話した。
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