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都筑区 人物風土記

公開日:2016.03.31

区内の「デイサービスひまわり」に勤め、4月で90歳を迎える看護師の
川浪 正子さん
青葉区在住 89歳

心に寄り添う「看護の母」



 ○…茅ケ崎南のデイサービスで働き5年。卒寿を前にした今も週に1〜3回、血圧測定や介助、掃除を行う現役看護師だ。「『若い人が入るまで』と誘われて、気づけば今まで居座っちゃって」と謙遜しながら、「でもこの年まで続けられるのはありがたいこと。生まれつきの世話好きなので、今も昔も人の役に立ちたい一心です」と目を細める。



 ○…大正15年、北海道日高町の農家に生まれた。9人兄弟の末っ子。大家族の生活を切り盛りする両親を「助けたい」という思いで、幼い頃から家業の手伝いをかってでていた。「遊ぶ時間はなかったけど、母が『”まあ”がいれば安心だ』と人に話していると知って嬉しかった」と懐かしむ。当時は助け合いを大切にしていた時代。近所に入院している人の看病をよく頼まれる優しい母の姿を見てきたこともあり、終戦前の6月に18歳で看護婦の資格を取得。それから71年、この道一筋で歩んできた。



 ○…終戦直後は食糧難や厳しい上下関係に苦しんだ。愚痴をこぼして上司に告げ口されることを恐れ、誰にも相談できずひたすら耐える毎日。それでも「人前では笑顔でいなきゃ看護婦失格」と言い聞かせ、「どうしたら患者さんは元気になってくれるだろう」と考えることが自分を支える唯一の方法だった。「患者さんの笑顔に私の方が救われた」。相手と目を合わせ、耳を傾けて向き合う姿勢はこの頃学んだもの。リハビリのために身体障害を持つ人が多く通う現在の職場でも、相手に寄り添う心構えで高齢者やスタッフから慕われる、母親のような存在だ。



 ○…元気の秘訣は何でもよく食べ、日光に当たること。84歳で青葉区に引っ越してきて以来散策がお気に入り。自宅がある千草台から藤が丘駅まで、坂道をものともせずウォーキングしたこともある。「お手伝いでも何でもいい。続く限り続けたい」。誰かの役に立ちたい。まっすぐな思いを胸に今日も業務にあたる。

 

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