戻る

旭区・瀬谷区 トップニュース社会

公開日:2023.07.20

共生社会を支える
「安心できる居場所に」
区内社福法人インタビュー

 横浜市内で最も障害者施設が多い旭区。中でもおよそ半世紀に渡り施設運営をしている社会福祉法人も多い。津久井やまゆり園事件からまもなく7年。本紙では区内の社福法人関係者に、時代や社会が変化する中、求められる共生社会の在り方について話を聞いた。

 区内で最も歴史のある社福法人の一つ白根学園は、今年4月から保土ヶ谷区の同愛会と共同運営法人として、津久井やまゆり園の後継施設である「芹が谷やまゆり園」の指定管理者に選ばれた。区境を挟んで隣接している両法人は奇しくも、同愛会の業務執行理事、斎藤喜美夫さんが、横浜市内約130の事業所が加盟する横浜知的障害関連施設協議会の会長を、白根学園の飯山文子学園長が副会長を務める間柄。斎藤さんによると「異なる社福が共同で一つの施設を運営するのは日本で初めての試み」だという。飯山さんは「共同運営の目的は、法人の垣根を越え、皆で協力して目の前の利用者にどんな支援が必要かを考えることが大切、と考えた」と話す。

お互い様

 旭区では住宅開発が盛んになる前の1960〜70年代、白根学園やくるみ学園、偕恵園などの障害児・者のための施設が立ち上げられた。

 障害者は「在宅」か「施設入所」の選択肢に限られていた当時。区内には既に白根学園や偕恵園が運営する今のグループホームの前身ともいえる「通勤ホーム」や「通勤寮」があった。障害者は職員の支援のもと、就労先に通い、共同生活を送っていた歴史がある。偕恵園の多田葉子施設長は「住宅よりも施設の方が古くからあったので、近隣の住民の皆さんに迷惑をかけたり、お叱りを受けることもあったが『お互い様』と受け入れてもらえるようになっていった」と振り返る。

 旭区には現在、グループホームだけで100カ所以上あり、約500人の障害者が生活している。

知らない→偏見→差別

 多田さんは障害者に限らず「すべての人にとって誰もが『安心できる居場所』と誰かのためになる『出番』が必要」と障害者が地域で暮らすことが当たり前な社会になれば、と期待を寄せる。斎藤さんも「知らないことが『偏見』を生む」と多様性を認める社会の在り方について投げかけた。

 飯山さんは「障害者=可哀そうな人ではない。彼らも様々な力を持っている。その力を引き出し、磨き、その人なりの力で社会に貢献すればいい。それを見守って欲しい」と要望。また「人は生きていく上で知らず知らずのうちに誰かに迷惑をかけているもの。それを『お互い様』と許せれば安心して暮らせる街になるはず」と語った。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

旭区・瀬谷区 トップニュースの新着記事

旭区・瀬谷区 トップニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS