元気な子どもたちに混ざって一人、柔道の稽古をしている男性。子どもたちの「おじいちゃん」世代とも言えそうな男性の名前は、野口眞佐(しんすけ)さん、69歳。瀬谷銀座通りの柔道場「善道館」の門下生として汗を流す。昔からスポーツは全く経験してこなかったという野口さん。いくつかのきっかけが重なり、現在に至っている。
道場との出合い
川崎重工業(株)で部品類の営業を担当し、定年退職。老後は何をしようかと考えていた時だった。飲み会の場で知人からふと言われた、「柔道をやってみないか?」の言葉に心が動き、昨年8月頃から都内のスポーツスクールで柔道を学び始めた。
その頃、情報誌に載っていた善道館の記事を、泉区の自宅で偶然発見。「隣の区にこんなことをやっている道場があるのか」。善道館では定期的に、伊藤吉治館長考案の「転び方教室」を開き、けがを防止する安全な転び方を子どもたちに教えている。野口さんは、「妻がやっているボランティア活動のように、自分も何か手伝えるのでは」と確信。11月に初段を取得すると、道場に電話をかけた。伊藤館長は「驚いたというより貴重な人だなと思った。ありがたいよ」と振り返る。
柔道の楽しさ実感
普段は自身の稽古をしながら、子どもたちのサポートを行う。技をかけられる側になったり、道場の玄関から落ちないよう見張ったり。「自分がいることで良い緊張感を持ってもらえたら」。体格の違いもあるため、誤って体が乗らないようにするなど注意を払いつつ、良い技が出た時は「今の動きいいぞ」と声掛けを欠かさない。子どもたちとやり取りをすることは、「楽しい」と笑顔を見せる。
「見るとやるとでは大違い。練習はしんどいし、体をもっと柔らかくしないと」。次の目標に2段昇格を掲げ、さらには、8月と10月に都内で行われる指導者向けの講習会に参加する予定。より良い手助けにつながれば、と意気込む。このほか柔道着のリユースなど、やりたいことやアイディアがどんどん浮かんでくるという野口さん。「柔道は今後も続けていきたい。もっといろんな人が楽しめる環境ができていけば」。未来の柔道人の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
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