横浜市は新たな介護人材確保策として、海外からの人材受け入れ支援に乗り出した。今年度はベトナムの都市や学校と覚書を締結。年度内に介護インターンシップ生や留学生を受け入れ、人材不足対応の一手につなげる。
市では、団塊の世代が75歳以上となる2025年、要介護認定者が21・3万人にのぼり、介護人材は約8500人不足すると推計されている。こうした事情に加え、外国人の在留資格に昨年から「介護」が加わったことを踏まえて、市は留学生らの受け入れ支援を促進。今夏、ベトナムの3都市、5校と介護人材受け入れに関する覚書を締結した。
各都市と学校は、介護の仕事に意欲のある人を市に推薦。市は事業所と協力しながら、受け入れ先の紹介をはじめ、日本語学校の学費補助や住居の確保、生活相談など多方面で支援する。
第1陣として11月をめどに、現地大学生がインターンシップでの来日を予定。学生は市内の特養や老健で9カ月間実習し介護技能を習得。大学卒業後は、技能実習生として再び横浜に来ることが想定されている。また、来年1月には介護福祉士を目指す留学生の受け入れも予定。今年度はあわせて20人ほどを、7施設で受け入れる方針だ。
学費や家賃補助も
留学生には受け入れ先の施設を通じ、来日後の日本語学校の学費を半額補助するほか、住居借上げ支援事業を活用した家賃補助も行う。いずれも残りの費用は施設が負担する。介護福祉士専門学校の学費には県の奨学金を活用。留学生は、就学中は施設でアルバイトし、資格取得後に正規職員として5年働けば奨学金返済が免除される。市は中国やインドネシア、フィリピンとも連携に向けて調査を進めているという。
市内にある介護施設の代表は「日本人だけでは支えきれない状況の中、将来的な労働力の確保につながるのでは」と話す。一方、永続的な働き手ではないことや施設側の負担の大きさ、留学途中での急な帰国などへの懸念もにじませる。市では「生活相談はもちろん、孤立させないようサポートをしていく」としている。
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