きょう3月11日で、東日本大震災から10年が経った。編集室では震災10年の節目に合わせて、今も被災地支援を続けている「NPO法人瀬谷丸」や、高校生などが参加してきた「瀬谷ボランティアバス」の取り組みを取材した。
切実な想いから生まれた瀬谷丸
岩手県大槌町に定置網漁船「瀬谷丸」を贈った「『三陸沖に瀬谷丸を!』実行委員会」を前身として、2017年に設立認証されたNPO法人瀬谷丸(露木晴雄代表)。現在も年に2回ほど現地に足を運んで交流や支援を続けている。
前身となる同委員会は12年3月に発足。震災当時から被災地で炊き出しを行っていた瀬谷区内の有志らに、現地の漁師から「仕事をするための船がほしい」という切実な声が届いたことがきっかけとなり、設立された。
発足直後、約3カ月かけて区内で募金活動を行い、集まった3625万円を漁船「瀬谷丸」建造費の一部に充てた。瀬谷丸は13年6月に大槌町で進水式が開かれ、9月に初漁を迎えた。同委員会からも11人が初漁に参加し、サバやイナダなど約800kgを漁獲。露木代表は「応援してくれた皆さんへの感謝と同時に、形に残る支援が出来たことが嬉しかった」と振り返る。
継続的な活動を
その後も大槌町で獲れた魚を、そうてつローゼン三ツ境店で販売するなど継続的に支援を続けていた同委員会。被災地の現状にあわせた幅広い支援を行うため16年に一度解散し、NPO法人化した。法人化後は区内小学校の給食に大槌町の鮭を届ける新しい支援を展開してきた。
10年が経った被災地の現状について、「道路もお店も出来てきて、復興は進んできている」と露木代表。今後は、横浜市以外の学校給食にも大槌町で獲れた魚を使用してもらおうと動いているという。露木代表は「震災も、瀬谷丸の活動を通じて出会った人や活動も決して忘れちゃいけない。プロジェクトや時間に区切りはあるけれど、それは決して終わりではない。20年30年と、この支援は続けていきたい」と想いを語った。
ボラバスで交流深め
瀬谷区社会福祉協議会が企画し、高校生などが参加してきた「ボランティアバス」。その活動写真などが3月末まで、せやまる・ふれあい館2階で展示されている。
ボラバスの第1回は、11年12月に実施。岩手県の大槌町や陸前高田市で瓦礫撤去などにあたった。12年からは岩手県釜石市を訪問するようになり、夏祭りの運営支援や、仮設住宅に暮らす人たちや高校生との交流などに取り組むように。また、支援をきっかけに、釜石市の社会福祉協議会職員や高校生を瀬谷区に招く「釜石からのメッセージ」も行われた。
ボラバスは19年まで13回にわたり毎年続けられていたが、昨年は新型コロナの感染拡大防止で中止に。今年もコロナ禍で実施が難しく、区社協は被災地を訪問しない支援の方法を模索している。
展示は、写真や実施報告書などを交えながら活動の変遷を辿るもの。職員は「あらためて東日本大震災について振り返って欲しい」と呼びかけるとともに、「(展示が)身の回りの災害対策を考えるきっかけになれば」と期待を寄せていた。
開館時間は平日午前9時〜午後8時(日曜祝日は午後5時)。3月21日(日)は休館日。
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