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戸塚区・泉区 人物風土記

公開日:2014.04.24

戸塚区に活動拠点を置く横浜FCシーガルズでキャプテンを務める
田中 景子さん
鎌倉市在住 27歳

原点から再びめざす頂点

 ○…品濃町のグラウンドに活動拠点を移し、関東2部リーグで新たなスタートを切った横浜FCシーガルズ。初戦を8対0の大勝で飾ったが、「内容的に全然満足していません」。国内最高峰のなでしこリーグ昇格を見据えるキャプテンの目に、達成感はない。

 ○…いつも4つ年上の兄の背を追っていたせいか、「男の子と遊ぶ機会の方が多かった」という少女時代。毎日公園でボールを蹴り、小学4年生になると仲間に誘われて地元のサッカークラブに入った。周りは男子ばかりでも、すぐにつかんだレギュラーの座。「そのころから『日本代表に入る』というイメージをもってやっていた」。中学、高校でもシーガルズの前身であるクラブで活動を続け、短期大学在学中にはU-20(20歳以下)日本女子代表にも選出されるなど、順風満帆なサッカー人生を歩んだ。

 ○…社会人になって入団した福島県を本拠とする東京電力女子サッカー部「TEPCOマリーゼ」。練習環境は他クラブに比べて抜群で、午前中は原子力発電所で働き、午後はまるまる練習に費やすことができた。「引退後も社員として会社に残れる。これで安泰」。だが、東日本大震災で運命は一変。キャンプ中で宮崎県にいたため難は逃れたが、慣れ親しんだ地域は津波に飲まれ、クラブもまもなく解散。共に生きてきたサッカーをにわかに失った。

 ○…「脚立をもって電球交換もしています」。昨年移籍したシーガルズの運営法人の職員として、施設管理などあらゆる雑務をこなす日々。毎日決まったグラウンドで練習できるのは大きな喜びだが、シャワー設備がないなどかつての恵まれた環境に比べれば足りない部分も多い。それでも、「上を見ても下をみてもキリがないから。現状を受け入れていかないと」。サッカー人生の原点とも言えるクラブに戻り、改めてボールを蹴る喜びをかみしめながら、高みを目指して歩み始めている。

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