大正12年9月1日に発生した関東大震災からまもなく1世紀。近年、首都直下型や南海トラフ地震の発生が危惧されている中で、万が一に備えたさまざまな対策が必要となる。その1つが行政と被災地の情報共有だ。災害時に区役所と各地域防災拠点を無線でつなぐ役割を担う「横浜市アマチュア無線非常通信協力会戸塚区支部」の取り組みを取材した。
「横浜市アマチュア無線非常通信協力会」は、市の要請により48年前に各区のアマチュア無線家が集まり発足。震度5強以上で電話が使えない際、役所からの要請を受け通信協力をボランティアで行う団体だ。戸塚区支部では無線従事者免許を保有する20代から80代の52人が所属する。
日々実践を重ねる
「多くのメンバーは自前の無線機を持っています」と話すのは支部長の水野健一さん。幸いにも会発足以来、区内で震度5強を超える地震の発生はなく、訓練によって通信技術を磨いてきた。会員たちは在住する地域ごとに区内35の地域防災拠点に割り振られ、各地域の防災訓練時には本部となる区役所を担当するメンバーと無線で通信を行う。このほか、今年度から区内で震度4以上の揺れが観測された場合に会員間で通信を実施。在住地域の状況を確認し、区にいち早く情報提供することを目標とする。また、各町内会に向けて非常時に備える通信アドバイスを行い、免許なしで使える無線機の配備を進言し、使い方を教える活動なども行う。水野支部長は「地域内での迅速な情報共有は傷病者の救助に役立つ」と話す。
横浜市では市役所や区役所と各地域防災拠点をつなぐ「デジタル移動無線機」を用意しているが、同時に40回線しか使えないことや長距離の持運びに不便があるなどの課題がある。そのため、同会では市のシステムの補完を役割とし、各地域の被災や傷病者の状況や必要な物資の情報を行政に伝えている。
人手不足が課題
現在、区内35の地域防災拠点のうちいくつかの地域で会員が未所属のため、災害時にすぐに駆け付けられる人材が不足している。そのため同会では、随時、免許保有者を募集し万が一に備える。「アマチュア無線は災害時に通信により多くの人に役立つもの。ぜひ参加してほしい」と水野支部長は話している。
区の担当者は「地域防災拠点と区災害対策本部の情報伝達手段の一つとして、連携してもらえることを期待している」と話した。
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