上柏尾町の国道1号沿い、白い壁に紺色の看板と自動ドア――。一見、企業のオフィスにも見えるこの建物。実は、区内にできた新しい「お寺」であることをご存じだろうか。
浄土真宗の「光照寺」は、もともとあった印刷会社のオフィスを改装する形で、今年6月20日に建立した。戸塚区内39カ所目の寺だ。入り口には毎月住職が考案するという標語が掲示されている。中に入ると1階にホールと安置室、2階に本堂があり、ようやくここが寺であるとわかる。
コロナ禍経て独立
同寺の宮本龍太住職はもともと一般企業で働いていた、いわゆる在家出身。30代で葬儀関連の企業を立ち上げ、仏教の世界に触れるうち「今の時代にも通じる教えがたくさんある。もっと知りたい」と考えたことがきっかけで、浄土真宗の教えを学び38歳で得度した。
岐阜県にある本院・光明寺の横浜別院として約20年間、自宅の一室に本堂を構え法要などを行っていた。しかし新型コロナウイルスの影響で、密集を避けなければならず、少人数での葬儀や法要が続いたという。
そのような状況を受け、本院から寺号(=寺の名前)を授かり、今年独立を果たした。宮本住職は「自分の残りの人生は、世の中のためになるように努めていきたい」と話している。
「命の尊厳」取り戻す
「現代社会において、命の尊厳が希薄になっている」と宮本住職は警鐘を鳴らす。時代の変化とともに簡易的になっていく葬儀の形を目の当たりにし、故人との別れの時間が短くなっていることが、希薄さにつながる要因だと考えている。
そこで同寺では、本来、寺が主体となって執り行う葬儀の形を復活させることを一つの目標としている。「葬儀社の指定はなく、お寺でご遺体をお預かりして期間を決め、いつでも故人に会えるような体制にしたい」とし、安置所の設備を整えた。初めての葬儀で悩む人の相談にも応えるなど、遺族に寄り添うことを心がける。
宮本住職は「仏事相談はもちろん、今後は法話会やお悩み相談会なども実施予定。お気軽にお越しください」と話す。
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