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戸塚区・泉区 社会

公開日:2025.10.16

市内在住ウクライナ人 イリーナさん
「戦争勝利」願うも同胞苦難に心痛
戸塚区の団体と交流

  • イリーナさんと戸塚国際フォーラムの後藤代表

 戸塚区で在日外国人と地元住民の相互理解促進を目的に英語で懇談をしている戸塚国際フォーラム(後藤憲治代表)。ロシアとの戦争により避難してきた横浜市内に在住すウクライナ人の相談員を務めていた、同国出身のゴロボロヂコ・イリーナさん(46/中区在住)を、今夏開かれた創立10周年記念講演会のゲストとして招き、終りが見えないロシアとの戦争への考えなどを語ってもらっている。

 イリーナさんに戦禍に苦しむ祖国への思い、侵攻後の横浜市内での活動、日本人に伝えたいことなどを聞いた。

 イリーナさんの故郷は、ウクライナ中部の都市カミアンスケ市。キーウからは電車で8時間ほど離れた街だ。日系ウクライナ企業で働いていた夫が日本のオフィスに招かれことをがきっかけに、約20年前、来日した。ロシアとの戦争が始まる前から、日本でウクライナの文化を伝える活動に携わってきたイリーナさん。東京にあるウクライナ日曜学校で、伝統的な工芸品作りを教えていたという。

企業採用面接にも同行

 しかし、2022年の軍事侵攻開始後、活動は大きく変わる。横浜市国際交流協会(YOKE)が運営する「ウクライナ交流カフェ・ドゥルーズィ」などを拠点に、戦火を逃れて横浜に避難してきた同胞の支援に全力を注ぐようになったのだ。「市役所からの郵便物が届いても、日本語が読めずに困っている人がたくさんいました。翻訳から、病院への付き添い、仕事探しまで手伝いました」。履歴書の書き方を教え、ニトリや無印良品といった企業の採用面接に同行することもあったという。

 ウクライナが旧ソ連に含まれていた時代に生まれたイリーナさん。力を込めたのは、この戦争の歴史的背景と、国民が抱く切実な思いだ。「何世紀にもわたり、ロシアとの間には常に戦争があった。そして2014年に領土が奪われたクリミア侵攻は大きなショックだった。その時から、いつかロシアが本格的に攻めてくるかもしれないという恐怖は常にありました」と振り返る。戦争に勝利し、領土が戻ってくることを願いつつも、あとどれだけの兵士や国民の命が失われるのかと、辛い心情を吐露する。「『軽々しく戦って取り返して』とは言えない」

 最後に多くの横浜市民、日本国民が寄付やSNSで真実を発信してくれることに「改めて感謝したい」と明るい声で語った。

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