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戸塚区・泉区

公開日:2025.12.18

戸塚区・泉区の
これ、なぁんだ?
微笑む地蔵の不思議な歌

  • ぴんころ地蔵と一緒に微笑む中丸さん

  • 恵子さんの伴奏に合わせてピンコロ音頭を歌った

泉区新橋町。川沿いで微笑むお地蔵さんから不思議な歌が。「これ、なぁんだ?」

 泉区新橋町の中丸家長屋門前でにっこりと微笑む地蔵の前を通り過ぎると、不思議な歌が聞こえてくる。「ぴんぴんころり♪ぴん、ころり♪」――。

 地蔵の名は「ぴんころ地蔵」。発祥は長野県佐久市で、ぴんぴんと元気に長生きして、ころりと大往生を迎えたいという思いが由来となっている。同所に住む中丸定昭さんが2011年に建立したもので、地域に親しまれるように人が通ると音楽が流れる仕掛け付きだ。

 軽快に歌われている曲は『ピンコロ音頭新橋町Ver.』。作詞を同町の小谷朋之さん、作曲を香登(かとう)みのるさんが担当した『ピンコロ音頭』を短縮して、小谷さんの妻で、琴の奏者である小谷恵子さんが伴奏している。

 いつしか、ぴんころ地蔵の元には賽銭が置かれるようになった。盗難防止のために賽銭箱を設置して、中丸さんはこれまで泉区医師会に寄付を行っている。

 10月末ごろ同町・観音寺で行われた恵子さんの演奏会では、中丸さんがぴんころ地蔵の歴史を紹介する一幕も。中丸さんの知人が佐久市の観光大使を務めており、度々ぴんころ地蔵のPRをしていたことがきっかけだという。「家の敷地内にある墓の整備をした時に、そのあたり一帯が寂しくなってしまった。そこでぴんころ地蔵を思い出して、設置することにした」。さらに当時、石材店から「長屋門の前にもう1体建てたら」と勧めを受けて、地域の活性化の意味も込めて建立したという。中丸さんは「観音寺のご住職に開眼供養をしてもらった」「賽銭箱が盗まれたこともあった」などのエピソードを語り、来場者は耳を傾けた。最後は恵子さんの演奏にあわせて全員でピンコロ音頭を合唱し、健康と長寿を願った。

墓石に刻まれる文明開化の跡

 中丸さんの自宅敷地には先祖代々の墓石が建ち並び、初代のぴんころ地蔵がその場所を見守っている。墓石に刻まれた年号を見ると、古くは江戸時代のものもある。

 「中丸家は一度、キリスト教を信仰していた時代がある」と中丸さんが示すのは、墓石の1つに刻まれた「明治拾八年三月横濱海㟁教會稲垣牧師ヨリ受洗」の文字。仏教の文化である墓石に、キリスト教徒の文化である洗礼を受けた日が記録された珍しいものだ。度々、歴史研究家や大学教授などが視察に訪れるという。中丸さんは「ひいおばあさんが『外国人の牧師さんが来て布団を何枚も重ねてベッドのようにして寝ていた』と話すのを聞いたことがあるね。不思議で貴重な墓石だよ」と語る。

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