戸塚区・泉区 社会
公開日:2025.12.25
遺骨収集、若い世代も
「繰り返さないための活動」
戦没者の遺骨を私たちの手で、日本へ帰還させたい――。「NPO法人JYMA日本青年遺骨収集団」では学生を中心とした若い世代が、かつての戦地に足を運び遺骨収集などの活動をしている。
戸塚区の明治学院大学・芸術学科に所属する片庭向日葵さん(2年)は今年10月、初めて沖縄県で遺骨収集活動に参加した。「ご遺骨に初めて触れて、その軽さに驚きました。現地に行けたのは、活動において一歩踏み出せたかなと思う」と振り返る。
知識のもとに成り立つ
戦没者の慰霊を目的に、1967年に創設された同団体。学生中心に活動し、これまで約500回の遺骨収集派遣を行い、約2680人が参加した(11月25日時点)。自主派遣として沖縄県で活動するほか、政府主催の派遣に協力し硫黄島や国外のミャンマー、ソロモン諸島などに向かうこともあるという。
同団体は「個体性の維持」を重視しており、遺骨が誰であるのかを判別して、可能な限り全身をそろえて遺族に返還できるよう努めている。そのために戦史を学び直したうえで、収集地点の決定や地権者への申請、事前の現地調査まで同団体メンバー自ら行っている。
また遺骨識別のために骨学も学ぶ。性別や左右、部位などを見分ける知識を身につけ、試験に合格して初めて活動に参加できるようになるという。片庭さんは「知識がないままだと、全身がそろわなくなったり、他のご遺骨と混ざったりしてしまう」と説明する。
学生中心で課題も
北海道出身の片庭さんは、大学進学を機に神奈川県に。今年5月、すでに同団体で活動していた友人の影響で入団した。「沖縄戦での戦死者数は北海道が2番目に多い」と片庭さんは語り、沖縄県での収集活動に地元とのつながりを感じていたという。
活動においては学生中心ゆえの困難もある。「学業優先のため、長期の活動や試験前は参加しづらい。授業を休んでも多くの大学で公欠になりません」と片庭さん。だからこそ、多くの若い世代の協力が必要だという。「入団に選抜はありません。戦争を繰り返さないために活動は続けなくては」と語る。
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