桐光学園サッカー部 悔しさ一蹴、全国へ 鍛冶ヶ谷在住・小村君　国立の舞台目指す

　12月30日（金）から来年１月９日（祝）まで行われる「全国高校サッカー選手権大会」。３年ぶり６度目の出場となる神奈川代表・桐光学園（川崎市）のミッドフィルダー（ＭＦ）として、鍛冶ヶ谷在住の小村研人君（３年生）が出場する。全国への切符をかけ、12日に行われた三浦学苑との県予選決勝では、先制ゴールを決め、チームを勢いづけた。初戦は31日（土）、和歌山代表の初芝橋本と対戦する。

　「サッカーをやってて良かった」県予選決勝、前半34分に先制ゴールを決めた瞬間、思いがこみ上げた。

　１年前の同大会県予選準々決勝。故障で出られない先輩に代わり出場するも、チャンスをものにできなかった。ＰＫ戦までもつれ込んだ一戦。キャプテンは６番目のキッカーに、２年生ながらＰＫを得意としていた小村君を指名した。「全国大会に行けば、優勝も狙える」と有望視されていた先輩たちの代―。全国への切符を引き寄せるはずだった小村君の一蹴は失敗に終わり、敗退した。

　それだけではない。今年６月に行われた高校総体県２次予選。第１シードの桐光学園は、準々決勝で第３シードの県立座間を相手に１対３で敗れた。「格下だと思ってなめていたと思う」。度重なる悔しさ。チーム全体も県大会で勝ち上がることで全国大会に行けるという認識を改めてもち、一丸となって今回の選手権大会県予選に臨んだ。

予言通りの先制点

　小村君が一年間抱え続けた悔しさを知ってか、チームメートのＭＦ・生部麦君は県予選決勝の一週間前、小村君に対し、「おまえが左足で決める」と予言し、シュートの練習をするように諭した。小村君の利き足は右。「なぜ『左足で決める』と言われたのかは未だに分からない」と首をかしげるが、夢中で蹴った決勝の先制点は予言通り、左足で決めていた。直後に同点に追いつかれるも、後半３分には小村君に代わって途中出場したＭＦ・松井修平君が決勝ゴールを決め、２対１。昨年の雪辱を果たし、持ち味だというチームワークで全国大会出場を決めた。

ＦＣ本郷での指導、胸に

　サッカーを始めたのは、父親の転勤でドイツのデュッセルドルフにいた５歳の時。サッカー大国だけに、周りにはサッカーをしている子どもも多く、「気が付いたらボールを持っていた」。

　小学校１年生の途中で帰国し、本郷小学校へ。ＦＣ本郷や市内を拠点とするバディサッカークラブに所属し、サッカーを続けた。

　ＦＣ本郷に所属していた時、コーチから「パスを出して満足している」と指摘されたことがある。以来、パスを出した後、前方に走り、リターンパスを受けて得点に絡むワンツープレーを磨き、自身の武器に。今大会県予選決勝の先制点もこの得意の形で生み出した。

　逗子開成中学校に進学後は、名門チーム「マリノス追浜」に所属。中村俊輔選手ら一線で活躍するＯＢを多数輩出する桐光学園高校サッカー部に憧れ、次の舞台に選んだ。

　高校生活最後となる「全国高校サッカー選手権大会」。31日の初戦で対戦する初芝橋本は３年連続11回出場の強豪で簡単に勝てる相手ではないが、どうしても負けられない理由がある。三年間苦楽をともにしたチームメートのＤＦ・三浦凌君は元日が誕生日。「初戦を突破して、絶対に祝いたいんですよ」。

　４回勝てば、準決勝で国立競技場のピッチに立つことができる。「とにかく走りたい」。全国４１７４校の頂点を目指した戦いは、間もなくキックオフ―。