小菅ヶ谷在住鈴木幸一さん 届け!希望の"たいやき" 被災地での雇用創出の可能性も模索
多くの犠牲者、行方不明者を出した昨年3月11日の東日本大震災からあと1ヵ月程で1年が経つ。神奈川災害ボランティアステーションを主宰する小菅ヶ谷在住の鈴木幸一さん(64)は、震災1ヵ月後の4月11日から毎月被災地へ赴き、被災者にたいやきを届け続けている。これまでの総数1万3100枚。「たいやきを通じて被災地を元気に」それが鈴木さんの願いだ。
鈴木さんが、赤十字防災ボランティアの一員として宮城県石巻市を訪れたのは大地震発生から4日後。こころのケア調査班のドライバーとして岩手・宮城の被災地を巡り、過酷な状況を目の当りにする中で「何とかしなければ」という思いが募った。お茶を飲みながら心のケアをするボランティア活動。「そこにたいやきでもあれば―」と考え、すぐさま行動に移した。
2004年の新潟中越地震の際、ボーイスカウトの仲間と被災地にたいやきを届けたことがある。「たいやき道具も、定年して自由な時間もある。被災地を見たらやるしかなかった」。
4月11日〜15日には石巻市内5ヵ所で1000枚を届けた。公園や体育館、仮設住宅などにテントを張り、被災地の子どもたちに手伝いを呼びかけて一緒にたいやきを焼く。「素人だから生地はホットケーキミックスと卵、牛乳、中身は餡だけ」とシンプルだが、店には瞬く間に列ができ、被災者同士の会話や手伝う子どもたちに笑顔が生まれた。「空腹のはずの焼き手の子どもが、お年寄りや幼い子どもを優先にしてたいやきを焼く姿に涙が出る」。
今年1月までに宮城、岩手、福島の3県に17回赴き、46ヵ所で届けたたいやきは1万3100枚。全て無料で1人に渡す枚数にも制限はない。渡す際に気をつけているのは「何人分ですかではなく、何枚ですか」と尋ねることだ。「仏壇に供える分かもしれないし、行方の分からない家族の分かもしれないから」と、被災者の感情にも配慮する。
費用は5年前に鈴木さんが立ち上げた「青少年社会貢献事業推進基金」の収益金や1枚100円の「たいやきシール」を販売するなどして捻出している。たいやき1枚の原価は40円だが、資機材や移動費を考えると赤字。しかし、「たいやきシール」を多くの人に買ってもらい、被災者が独自に開店できれば、移動費などが不要になり、1枚あたり60円の利益を生み出せると考えている。
同プロジェクトに賛同した座間市のざま防災ボランティアネットワークはすでに被災地の雇用創出を目指して活動を行っている。「漁業や観光など本来の仕事ができるまでの希望になれば」と鈴木さん。多くの人に協力を呼びかけている。
たいやきシールの購入・詳細は鈴木さん【携帯電話】090・8170・6337まで。
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