横浜市の2012年度予算案がこのほど発表された。一般会計の総額は前年度比1・4%増の1兆4097億円で、2年連続のプラス予算となった。任期最終年に入る林市長は、厳しい経済・財政状況の下、震災対策の強化、横浜経済の活力回復と安全・安心の確保などを目指す。
一般会計の歳入を見ると、市税の実収見込みは38億円減の6961億円。地価の下落等による固定資産税・都市計画税が112億円と大幅な減収で、法人市民税も企業収益の悪化で12億円減。不足する財源は基金や特別会計からの繰り入れ等で補った。また、市債発行額は震災対策事業に充てる117億円を盛り込んだことから前年比プラス53億円の1327億円。市債依存度は前年比0・2ポイント増の9・4%となった。
歳出面では、東日本大震災を受け、建物や橋梁の耐震対策事業などの施設整備費が大幅に増加(前年比11・3%増)したのが特徴で、これに加え、横浜経済の活性化や子育て・教育支援、環境施策などに重点的に予算配分した。
具体的な事業として、震災対策では、区庁舎や市立学校での耐震整備(24億2000万円)や放射能対策推進(22億4100万円)、津波警報システムの整備に6億8600万円を計上。
子育て関係では、2013年4月の待機児童ゼロに向け保育所の整備(46億2100万円)をさらに進め、放課後児童育成推進事業として44億3300万円も盛り込んだ。これまで「就学前まで」だった小児医療費助成は今年10月から「小学校1年生」までに拡大する(65億7000万円)。
教育関係では、市立の小中高・特別支援学校全校に英語指導助手(AET)を配備(10億4700万円)、14年度までに全中学への常駐配置を目指す。
横浜経済の活性化策では中小企業への融資推進(700億3000万円)や設備投資助成(2億9300万円)等の振興策のほか、港湾施設整備(152億1700万円)などの都市基盤整備、ダンスイベント開催(3億9200万円)、コンベンション誘致(1億2100万円)などの新規事業にも取り組む。
栄区の自主企画事業費「セーフコミュニティ」などに
各区が地域の課題やニーズに対応するための予算である自主企画事業費には、22億5000万円を計上。
そのうち栄区の予算は1億3200万円で、主なところでは、世界保健機関(WHO)からの2012年度中の認証取得を目指している「セーフコミュニティ」に関する取り組みに880万円、児童虐待防止や保育園と地域の連携、待機児童対策などに取り組む「子育て支援」に868万円などが充てられる。
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