振り込め詐欺の被害が栄区内でも相次いでいる。栄警察署(伊東聡署長)によると、7月10日までに区内で発生した被害件数は20件(うち未遂1件)。被害総額は昨年1年間での総額をすでに上回っている状況だ。
昨年1年間で発生した被害件数は24件、被害額は約8200万円だった。今年に入ってからは毎月被害が発生しており、件数はすでに20件、総額は約8300万円に上っている。
8日には70代女性が被害に遭っている。長男を装う男から「株で500万円を損して消費者金融からお金を借りている。300万円をすぐに返さないといけないため、お金が必要」という電話があり、同日夕方に長男の代理人という男に現金を手渡した。「父親には言わないで」という言葉から誰にも相談はせず、全てが終わってから夫に一部始終を話したところ被害が発覚した。
今年は1件ごとの被害額が大きく、1000万円を超える被害も何件か起きている。手口としては子や孫などを装う「オレオレ詐欺」が一番多く、その他に還付金詐欺や架空請求詐欺が続く。受け取りは手渡しが多いが、ATMによる振り込み、現金を入れることができないレターパックや宅配便などによる郵送も使われている。被害者は70代、80代が多いという。
同署生活安全課の担当者は「ほとんどの人が振り込め詐欺を知っていても、何割かの人は被害に遭ってしまう」と話している。
留守電設定で被害抑止へ
同署ではこれまでにも、駅頭や車両による広報、防犯講話などによる対策を実施しているが、被害が減らない状況だ。
さらなる対策のひとつとして留守番電話の設定を挙げる。犯人は前兆電話でだませるかどうかを確かめるため、電話に出なければ犯人もすぐに諦める可能性があるという。そのため、「留守電にしてすぐに電話に出ず、相手を確認してから出るように」と呼び掛けて、それぞれがだまされないように訴えている。
また、昨年から行っている金融機関窓口で60歳以上の人が300万円以上を引き出す場合に同署へ通報してもらうことに加え、200万円以上の場合には安全確保のために振り込みや預金小切手を提案する対策も始めている。直接現金を持ち出さないことで、すぐに犯人へ現金が渡ることを防ぎ、被害を減らすことが期待される。もし、振り込みや預金小切手の使用を拒否した場合は同署へ通報してもらい、すぐに警官が駆けつけて話を聞く体制を整えて被害抑止に努める。
伊東署長は「オレオレにしても還付金などにしても手段は全て電話。電話でお金の話が出たら、詐欺だと疑って」と注意を呼び掛けている。
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