横浜市 父子家庭にも福祉資金 10月から貸付開始
横浜市は母子家庭に貸し付けている福祉資金(修学資金等)を、今年10月1日から父子家庭にも充てる。母子及び寡婦福祉法の一部改正に伴うもので、現在開会中の市会定例会で審議、可決後、同日から貸し付けを始める。
父子家庭への福祉資金貸し付けは、配偶者がなく児童(20歳未満)を扶養している父と扶養されている児童が対象。修学資金(月額1万8000円〜6万4000円)や就学支度資金(3万9500円〜59万円)、修業資金(月額6万8000円ほか)を母子家庭と同様、無利子で貸し出す。
技能習得や就職支度、事業開始・継続、転宅、住宅、医療介護、生活、結婚などの資金も、有利子で貸し付けることが可能となる。
市は新制度導入に伴い9月補正予算の特別会計で800万円を計上した。
15年間で1・29倍
横浜市の父子家庭世帯数(国勢調査より)は1995年に2131、00年に2270、05年に2360、10年に2742と増加を続け、95年からの15年間で約1・29倍に増加した。6歳未満の子どもがいる父子世帯は05年〜10年の5年間で222から342と1・54倍(母子家庭は4%減)となっている。
制度周知に課題
福祉資金の父子家庭への貸し付け拡充の背景には、仕事と子育ての両立が難しく、安定した収入が得られないという、男女に共通した社会的・経済的状況があげられる。こうした中、制度の対象が母子家庭だけだったり、父子家庭も対象でも「母子○○」という名称により利用しにくかったりという現状に不満の声もあがっていた。
NPO法人しんふぁ支援協会代表で全国父子家庭支援団体連絡会理事の原貴紀さん(川崎市)は、父子家庭への福祉資金貸し付けを「困っている人が多いので、とても大きい」と評価する。
一方、母子家庭世帯は様々な支援制度を知っているが、父子家庭では「児童扶養手当については大分知られてきたが、制度を知らない人もまだまだ多い。貸付け資金制度が母子家庭と横並びになることを9割以上が知らないのでは」と原さんは話す。
市では、認知度が低く利用が低調な制度の効果的な情報提供を行っていく方針だ。市ひとり親家庭自立支援計画(13〜17年度)では児童扶養手当や児童手当、医療費助成など、生活維持のための経済的給付に関する制度周知の実施といった取組みを、バスや地下鉄の特別乗車券の交付など、経済的負担の軽減とともに推進していくとしている。
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