現在、市立桂台中学校(村本淳一校長)の図書室に「聞き書き文庫」というコーナーが設けられている。高齢者の話を聞いて、話し言葉でまとめる「聞き書き」で作成された9冊の本を約1カ月にわたって展示。高齢者の経験や知識を、そのままの言葉で中学生に伝えている。
「聞き書き」とは、聞き手と語り手が共同で、語り手の話を話し言葉の形で文章にしていく作業のこと。現在同校で展示されている本は、桂台地域ケアプラザ(石塚淳所長)で活動するボランティア団体「聞き書き隊」が作成した。同隊は2013年10月に発足し、これまでに10冊ほどの本を作成してきた。テーマは決めずに語り手が話したいことを話してもらうため、昔の暮らしや戦中・戦後の体験など内容はさまざまだ。
展示のきっかけは昨年10月頃、同校の教諭がケアプラザで聞き書きによる本を見たことだった。高齢者の経験や知識などがまとめられた貴重な内容やきれいな装丁の本を見て、教諭は生徒にも見せたいという思いを抱き、ケアプラザや生徒らの保護者による学校と地域のパイプ役「オレンジの会」の協力を得て学校での展示を企画。今月に入ってから展示を始めた。
同校の村本校長は「地域のそういった教育資源を使わせていただき感謝している。戦争を経験した方などの生の声が聴けるのは嬉しいこと。生徒たちには読んで自分たちの財産にしてもらえれば」と話す。
展示に保護者も協力
展示に際しては「オレンジの会」のメンバーらが中心になって準備を進めた。当初は他の図書と同様に本を並べる考えもあったというが、きれいな装丁を見せるために表紙が前面になるように配置。それぞれの本を紹介するオリジナルのポップを作成したり、ケアプラザからの要望で生徒の感想を入れる箱を設けたりして、書店のように見やすく並べられている。
村本校長は「保護者の方もケアプラザの方も献身的で、とても感謝している」と感謝を表し、同会のメンバーは「語り手個人だけでなく、日本・世界の歴史がつまっている。話を聞いている感覚で読めてその人の人となりも分かるので、そういう所もぜひ読んでほしい」と多くの生徒が読むことを期待する。自身も聞き書きを行っているケアプラザの石塚所長は「学校から声がかかってできたせっかくの機会。手伝ってくれた保護者の方などをはじめとした大人も、本を通して子どもたちと話してみてくれれば」と話している。
展示期間の最終週にあたる3月2日(月)から6日(金)までには、図書室を一般区民へ向けても開放予定。時間は午後0時30分から0時50分まで。見学希望者は桂台中学校まで問い合わせを。
詳細は桂台中学校【電話】045・891・2149。
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