本紙では新年度を迎え、尾仲富士夫栄区長にインタビューを行った。今年で就任5年目を迎える尾仲区長は昨年度の出来事を振り返った上で、今年度はウォーキングや郊外部のまちづくり、道路整備などに力を入れて取り組むと話した。(聞き手/本紙・八木祐樹)
―まずは昨年度の振り返りをお願いします。
「まず1点目は、防災についての再出発の年だったと思います。具体的には今まで地震については、地域の方といろいろと議論して防災に対する体制、地域の共助を整えてきました。一方で昨年は、台風18号があって避難勧告を出し、2004年以来の浸水被害も受けました。この教訓もあり、もう一度風水害や崖崩れといったことに備えて共助、あるいは公助について見直していかないといけない、再出発をしないといけないという年でした。
あとは本郷台のまちづくり構想の議論がスタートし、何とかまちづくり構想が出来上がりました。これも多くの方の知恵を頂きながら、国有地の活用と駅前広場の再整備を進めるということで、栄区の将来に向けての再出発でした。
3つ目は待機児童の解消です。栄区では14年4月の段階で待機児童を2年連続ゼロにできたことは、区として良かったことでした」
ウォーキングを推進
―今年度はどのようなことに取り組みますか。
「1つはウォーキングを本格的に推進していきます。横浜市が行っているウォーキングポイント事業では、人口当たりの参加者数では栄区が市内で一番多いです。ぜひウォーキングに関する団体の皆さまに集まってもらう連絡会議のようなものを開いて、区民全体に広げていきたいです。秋にはウォーキング月間を定めて、まちの盛り上げにもつなげられればと思います。
定量化できる施策に注力
2点目は超高齢化社会を見据えた郊外部のまちづくりを本格的にスタートしたいです。元気な高齢者が多いうちに、地域のネットワークづくりを再構築する時期にきていると思います。今まではお互いの相互扶助以前に、仲良くまちを盛り上げようといった感じでしたが、今度は本当にお互いが助け合う時期にきています。区と地域が一緒に議論をしながら、まさに地域ケアができるようなまちづくりをしていきたいです。具体的には上郷東地区を対象に、地域との議論をスタートしていきます。
最後に3つ目は横浜環状南線や環状4号線、3号線の道路整備や昨年度の教訓である浸水対策、大船の再開発のようなハード面です。これらは事業主体任せではなくトータルできっちりと進めていきたいと思っています」
再認証に向け認知度向上へ
―認証取得から1年半が経過したセーフコミュニティについてはいかがですか。
「2018年が再認証、16年には中間審査があります。これからやっていかなくてはいけないことの1つが認知度を高めることです。現在約21%の認知度を、17年の本審査までに50パーセントまで上げていきたいと考えています。そのために広報やPRを続けます。
それとセーフコミュニティでは、定量化に基づく効果測定が非常に重要な柱になります。そのため施策を定量化できるものに絞り込んで力を入れていきたいです。一例としまして、ヒートショック対策があります。区内の1、2月の救急搬送件数は昨年より15%ほど高くなっています。その内訳をみると全てではないですが、お風呂場での温度差、いわゆるヒートショックで運ばれる件数が特に高齢者では多くなっています。このことからも出来るだけお風呂場を事前に暖めてもらうように啓発し、普及させていくことによって搬送件数が減ってくれば、それはまさにセーフコミュニティそのものになります。こういったことに着手していきたいです。
また、やりたいことの1つが認証を取得している都市との都市間交流です。いずれは国際都市という意味での他国との交流もあると思いますが、まずは国内で各都市との交流をしていきたいです。昨年も大阪府松原市から市長にお越しいただきました。具体的な都市は調整中ですが、10月にフォーラムを開いて交流できればと思います」
30周年に向けてスタート
―来年は区制30周年を迎えます。
「30周年に向けては『感謝』『つながり』『夢』をキーワードに、記念事業の期間を今年10月から2017年3月までの500日間ということまで実行委員会で決めさせていただきました。あとはここにどういう魂を入れていくかです。区民の皆さんの提案も積極的に受け入れながら、皆さんが参加するだけでなく、引っ張って行っていただけるような形にしていきたいと思います。
30年というとお祝いというよりも、未来志向で次の所へ皆さんとスタートするように士気を高めていく時なのかなと思います。皆さんが積極的にご提案頂ける、参加していただく仕組みを考え、既存の事業もうまく生かしながら盛り上げていきたいです」
―区民の皆さんへメッセージをお願いします。
「まさにこれから高齢化社会を迎えたり、セーフコミュニティであったり、30周年であったりと、いずれも区民の皆さんが主役の場面となります。これまで以上に多くの方に参加していただき、皆さんと私たちや、皆さん同士でも顔が見える環境を作りながら、栄区がもっともっと暮らしやすいまちになっていくようにしていきたいと思いますので、これからもご協力をお願いします」
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