11月25日、児童虐待防止講演に立つ自立援助ホーム「えんどうホーム」代表 遠藤 浩さん 六浦東在住 64歳
子どもと共に生き 支える
○…一見、住宅街にあるふつうの民家のような「えんどうホーム」。何らかの理由で帰る家のない、15〜19歳の子どもたちと生活を送る。強い反抗や、非行に走る子どもも少なくない。「あまり愛情をもらって育ったわけではない子どもたちなので、それは当然。彼らを受け止めるには、私みたいにちょっと不まじめくらいがちょうどいい」と苦笑いする。「必要なのは『指導』ではなく、子どもと一緒に生きること」と力強い。
○…出身は千葉県。6人きょうだいの末っ子として生まれ、温かい家庭で育った。物静かで優しい母は、問題を抱えた子でも「いらっしゃい」と笑顔で迎える人だった。高校を出て、舞台の照明に憧れて文学座の門を叩くと、演出家をめざしながら舞台にも立った。会社勤めと二足のわらじを履きながら、演劇に没頭していたある日、思いも寄らない話が舞いこんだ。児童養護施設の理事を務める兄のつてで、自立援助ホームを引き受けてほしいと、横浜市から請われたのだ。
○…「福祉についても全然知りませんし、最初は断り続けました」。しかし、自立援助ホームのさきがけ「憩いの家」(東京・世田谷)を設立した故・広岡知彦さんとの出会いが転機となった。「万人を照らす光のような人。そんな彼に『向いている』と言われ、憩いの家の子どもたちの笑顔に触れるうち、決心を固めました」。そして1991年、芝居も会社も辞め、妻と母と三人でこの地に移った。
○…ホームを巣立った子どもたちは100人以上。「本当にいろいろなことがあって、驚がくのしっぱなしでした」と振り返る。父の日や母の日、結婚・出産の報告など、事あるごとに遊びに来る子どもたち。彼らの自立した姿を見ることが、大きな喜びだという。これからの希望は、「制度上まだできませんが、大学卒業まで子どもをサポートすること」。その柔和な笑みで、いつまでも子どもたちを見守り続ける。
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