ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で初受賞した映画「どんずまり便器」の監督 小栗 はるひさん 大道出身 28歳
女性の内面 映像でえぐる
○…その名も、「どんずまり便器」。「弟は私だけのもの」と、弟に歪んだ愛を注ぐ傷だらけの女性を描いたこの作品で、脚本・監督を務めた。2月に北海道夕張市で行われた映画祭では、主演女優が受賞。「キャストが光る作品になりました。役者さんが褒められるのが一番うれしい」と笑顔を見せる。映画は各地で反響を呼び、長期上映も決まった。「この作品は集大成。初めて賞をいただけて、映画をもう少し続けていいんだなって思いました」
○…終始落ち着いて話す「おとなしめ」な印象。だがその作品は、大胆なテーマと表現で、女性の心の深層をえぐり出すものばかりだ。「女性監督として、人と違うことをしなきゃいけない。そこで、男性では出せない『味』を出そうと」。描くのは、疑念や不満に満ち、それでも生きていく、醜くも美しい「裸の女性」。コンプレックスだらけだったという、自らの内面を投影しているようにも見える。
○…「やりたいことをさせる」という両親のもと、絵や作文に親しんだ少女時代。「のびのび育ったなって思います」。初めて映画を撮ったのは、通っていた八景の児童教室。脚本もキャストも子どもという、この「作品」で、表現する喜びを知った。20歳で映画の道を志したのも、そんな原体験があるからこそ。夢は、地元金沢で映画を撮ることだ。「舞台は(母校の)大道中。内容は絶対青春もの。それが、横浜のイメージに一番合うから」
○…仲間と立ち上げた映像集団「トラウマサーカス」で活動する。「『普通の幸せ』を手にしたいと思うときもある。でも、あきらめないでやるしかない。やると決めたんだから」と、信念を語る。次回作の構想は、「若者にさらなる衝撃を与えるエンタテインメント」。「人の痛みを見せるところが映画のおもしろさ。お客さんに『傷』が残るような作品にできれば」。心を突き動かす映像を求め、わき目も振らず、走り続ける。
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