記者が訪ねる かなざわの名刹 第16回 高栄山宝樹院
大道小学校の奥、急な階段を上りきった丘に、この寺は立つ。かつて三艘(さんぞう)(現六浦南)にあったが、火災で焼失し、江戸時代の初めに大道に移ったという。
本堂の隣にある阿弥陀堂には、県重要文化財の「阿弥陀三尊像」が安置されている。付近に存在した「大道山常福寺」の本尊を移したものだ。像高84・5センチとやや大きめの中尊像は、僅かに笑みをたたえながらも、凛々しい顔立ち。平安末期の作とされる。
前述の常福寺は、規模の大きな伽藍(がらん)を持ち、交通の要衝であった大道一帯を領地としていた。鎌倉時代には門前に関所が設けられ、称名寺の造営費用に充てるために通行料を取った記録もあるという。時代が下るにつれ衰微し、明治時代には廃寺となったが、三尊像が歴史を今に伝えている。
入住して12年の28世・豊田祐爾(ゆうじ)住職は、「微力ながら、寺をしっかり護っていきたい。伝統や信仰を次の世代へ引き継ぐことが、私の小さな願いです」と話していた。
【本尊】大日如来
【宗派】真言宗御室派
【住所・電話】金沢区大道2の7の1 【電話】045・781・0382
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
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