記者が訪ねる かなざわの名刹 第23回 嗣法(しほう)山 伝心寺
1247(宝治元)年、時の執権・北条時頼によって開基された。この年の夏から翌年春にかけて、宗祖・道元が説法をしたという記録も残っている。
寺から東へ500m、海の公園手前にある「入定(にゅうじょう)塚」(江戸時代)とは密接なかかわりがある。この塚のあたりは野島と小柴とを結ぶ海岸通りだったが、海が荒れるたびに道が流されてしまっていた。これに心を痛め、立ち上がったのが、この寺の修行僧・伝海だった。自ら掘った穴に入り、7日間念仏を唱え続けたすえに入定(即身仏になること)。以後、道が流されることはなくなったという。のちに、住民たちの手で彼の功徳を称える塚がつくられ、現在まで受け継がれている。
寺宝のひとつには、楠正成の持仏だったという毘沙門天像の縁起書も伝わる。横浜金沢七福神のうち、「毘沙門天」をまつっているのはこのためだ。
40世の大澤憲明住職は、「山門をくぐればホッとできる。そんな雰囲気のお寺を保っていきたい」と話している。
【本尊】釈迦如来
【宗派】曹洞宗
【住所・電話】金沢区町屋町16の28 【電話】045・781・8820
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
|
<PR>