金沢図書館講演会「目で聴き、耳で見る『シェイクスピア作品入門』」で講師を務める 瀬沼 達也さん 泥亀在住 61歳
恩師の志継ぎ次の舞台へ
○…「To be, or not to be…」――ハムレットの苦悩を静かに、けれど荒々しく言葉に乗せ心情を表す。「どっぷりシェイクスピア」。英語劇の演者、演出、14年前に立ち上げた日本唯一の原語上演劇団では座長と、人生を捧げてきた。「シェイクスピアのセリフは原語で聞くと歌っているよう」。出会った40年前から虜になった、その音楽的魅力を伝える。
○…英語教師を目指して関東学院大学に。そこで以後30年師事する恩師に「一目ぼれ」した。理想の教師を追い、同大で長年伝統が続く英語劇の道へ。「発音に厳しく一日二行しか進まない合宿もあった」。同大職員になり、支える側に。そんな折、恩師がこの世を去った。「後を頼む」――手を取り言った言葉を今も忠実に守る。演出主幹として年間200時間ほどを費やし、学生と日本最長の歴史を誇る大学上演を続けている。
○…年齢関わらず、仲間を「生涯の友」と言う。大学4年で学生代表を任される時、7分の1が人間関係を理由に去った。「絶対に辞めさせないと、一人一人を大切に公平に接した」。すると翌年は全員残留。それ以降今まで離脱するメンバーはほぼいない。「人間的に成長できた。それぞれ能力を生かし成功を目指すことは、生きる自信になる。学生にも経験してほしい」と切に願う。その思いを知ってか現在、卒業生の娘が入門。「二世で指導するなんて」と笑みがこぼれる。
○…大学3年の時に演じた当たり役で演技に開眼。反応などしなかった恩師が手を叩いて笑った。「笑いや涙など感情で返ってくる。生きている実感」。何人もの人生を生きられる特権に魅了されてやまない。座長を務める劇団では、本邦初となる一人14役の公演に成功。その傍ら「本来意図するものを上演すればシェイクスピアも喜ぶはず」と、聖書とシェイクスピア作品の関係を探求する。「いつか本場・英国で上演したい」。夢舞台に立つ日を待つ。
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