物語でめぐる金沢 「徒然草」(「徒然草 角川文庫」兼好法師、小川剛生訳注、角川書店)文・協力/金沢図書館
「徒然草」第三四段に金沢が登場します。「甲香(かひかう)は、ほら貝のやうなるが、小さくて、口のほどの細長(ほそなが)にして出でたる貝の蓋(ふた)なり。武蔵国金沢(むさしのくにかねさは)といふ浦にありしを、所の者は、「つなたりと申し侍る」とぞ言ひし。」とあります。甲香(香料の材料)は、ほら貝に似ているが、小さくて口のあたりが細長く出ている貝の蓋。武蔵の国金沢の海岸にあったものを、土地の人は「つなたりと申します」と言っていた。という内容です。
「徒然草」で金沢に触れているのはこの部分のみですが、金沢と兼好法師の間にはもう少し深い関係があるようです。神奈川県立金沢文庫に、彼と金沢北条氏との繋がりを示す古文書が残されているそうです。また、「徒然草」第二三八段では、金沢貞顕が建立した寺院や、貞顕の息子である顕助僧正の記述もあります。
別の本になりますが、「兼好法師家集」に、兼好法師が昔住んでいた金沢の家を再訪した時の歌があります。「新編武蔵風土記稿」では、その場所は上行寺境内の東の山上とされています。
六浦湊という良港を持ち、鎌倉幕府の海の玄関だった金沢。時代を代表する文化人が住んでいても不思議はありませんね。
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