季節の花【19】 蔓で籠を編む「ミツバアケビ」 果実は若返りの仙薬 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
ミツバアケビは区内の林縁の樹木やフェンス等に絡みつき、春に紅紫色の花をつける蔓性植物です。左右には2個大きな雌花、中央に数個小さな雄花があります=写真上。葉は3複葉で「三葉木通」と書きます。「木通」とは蔓の太い部分を指します。果実は利尿剤や若返る仙薬に利用し、樹皮は剥ぎ水で白く晒して、籠などを編みます。長野県の民芸玩具「鳩車」は、このアケビの蔓から作ります。
名の由来は、果実が熟すと縦に裂けるため、「開け実」からアケビとなりました。また、実の口が開くので、「あくび」からという説もあります。果実はほのかな甘みと香りがあり、おいしいので、昔から農家の嫁の貴重な栄養源でした。
中身を食べた後、果皮にひき肉を詰めて「ナスのはさみ揚げ」にすると、美味で栄養価も高くなります。
アケビ類は、東南アジアと南米チリとに隔離分布されています。これは約2億年前、地球上が一つの大陸から5つの大陸に分離する以前に、祖先を持つ古いタイプの植物だといえます。
同じ仲間の「アケビ」も多くみられますが、アケビの葉は小型で5複葉、葉の縁に鋸歯がありません。ミツバアケビの縁には波状の鋸歯があります。最近5複葉で波状の鋸歯を持つ両者の雑種「ゴヨウアケビ」も多く見られます。
次回は「タブノキ」です。
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