将棋の第29回アマチュア竜王戦全国大会が6月25日・26日に行われ、金沢区富岡東在住の渡辺誠さん(22)が初優勝した。渡辺さんは今後、来春に行われる柔道整復師の国家試験をめざし、学業に専念するという。
アマ竜王戦は昨年、「何が何でも優勝して、プロ棋士になる」と強い決意で臨んだ大会。見届け人として母親に会場まで応援に来てもらったが、決勝で惜しくも敗れてしまった。
「今回は引退試合のつもりでエントリーした。勝てたのはミラクル」と笑顔を見せる。ここ数カ月は練習をほとんどせず、大会出場も数えるほど。「びっくりするほど弱くなっていた。(県予選は)あり得ないミスをして、何度も負けそうになった」と話す。
全国大会初日も苦戦の連続だった。予選リーグ3局目は、途中で勝ち目がなくなり、本気で投了しようと思った場面も。だが「とりあえず動けなくまでやろう」と指し続けることで勝ちを拾った。相手が自ら手をつぶし、大逆転。決勝トーナメント出場を決めた。
トーナメント1回戦も、「一時は10通りくらい相手に勝ち手があった」と窮地に追い込まれた。しかし相手が悪い一手を指し、流れが一変。「混戦の中で、これが将棋だと思い出した」と渡辺さん。「それまでは3手先ぐらいまでしか見えてなかったが、一気に枝分かれした幾通りもの手が何十手先まで見えた」と”覚醒”した瞬間を振り返る。
覚醒を力に決勝へ
それから決勝戦までは、覚醒の勢いそのままに、順調に勝ち進んだ。「すごく強い相手もいたが、想定した手の中から相手が出ることがないほど、調子がよかった。『コレ優勝したわ』と思いましたね」
決勝の相手は岩手代表の小山怜央さん(22)。同い年の小山さんとは、よく話したり遊んだりする友人の一人。知っているだけに、その強さも熟知していた。「今日の状態で勝てなかったら、きっと一生勝てないだろう」と対局に挑んだ。
実力が拮抗する対局は、勝負のつかない千日手となり、引き分けに。指し直しとなった2局目は、「ずっと苦しい状況だった」と振り返る。「(先の手が)自分も見えているけど、相手も見えている状態。相手が真剣に勉強を重ねてきた分、終始主導権を握られていた」。だが終盤、思わぬところで相手が痛恨のミス。そのチャンスを見事モノにし、押し切った。
「あきらめかけていたけど、やっぱり嬉しかったですね」と優勝した感想を話す渡辺さん。「(プロになりたいという)欲はもうない。今は勉強に魅力を感じているから」とさばさばとした様子。優勝賞金はすべて学費にまわすという。「必死に将棋の勉強していた時は、優勝出来なかった。僕、タイミング悪いんです」。今後は、学業に専念し柔道整復師の国家試験を目指して勉強するという。
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