神奈川県は4月19日、金沢区と磯子区の一部を含む東京湾沿岸の「高潮浸水想定区域」を指定し公表した。これにあわせ「高潮特別警戒水位」を全国で初めて設定。想定し得る最大規模の高潮に対する避難体制の強化が目的だ。
高潮とは、台風や発達した低気圧の影響で、海水が吹き寄せられ、海面が上昇する現象。昨年9月には、台風21号の影響で、関西国際空港の滑走路が冠水する被害が出ており、全国的にも対策が急務となっている。
今回の指定・公表は、2015年の国の水防法改正に基づくもの。県は16年度から検討会を立ち上げ、1934年の室戸や59年の伊勢湾など、過去最大級の被害をもたらした台風を参考に浸水被害をシミュレーション。昨年8月に結果を公表していた。今回は、浸水の深さや継続時間などより詳細な情報をホームページにアップした。
それによると、横浜市のほか、川崎市、横須賀市、三浦市の沿岸部68・6平方キロメートルを浸水想定区域とした。横浜市は金沢区、磯子区のほか、中区、西区、南区など9区で浸水が予想されている。
金沢文庫駅周辺で1m
金沢区では、2・5平方キロメートルが該当。金沢文庫駅周辺では1メートル程度の深さを想定している。県砂防海岸課によると大人の膝あたりとなる0・5メートルの浸水で避難が難しくなる。さらに、高潮のほかに、降雨による洪水の発生も想定。釜利谷東の宮川周辺や六浦の侍従川も区域に指定された。
一方、磯子区は、0・6平方キロメートルが指定された。日清オイリオや石川島播磨重工業などの沿岸部。堀割川周辺の八幡橋交差点、動物検疫所などは、高いところで1メートル以上の浸水深が想定されている。
「高い場所に避難を」
県は、高潮浸水想定区域の指定に伴い「高潮特別警戒水位」を設定した。この危険水位に達した場合、県は、横浜地方気象台が出す避難勧告が含まれる「高潮警報」の後に「高潮氾濫危険情報」を発表。報道機関を通じて情報を知らせる。この時点ではすでに台風が接近し避難所などに逃げることが難しい状況が想定されることから「想定区域図に示した浸水の深さを参考に、頑丈な建物内の浸水が及ばない、より高い場所で安全を確保する行動をとってほしい」と県の担当者は話す。
県は今後、市が取り組むことになる高潮ハザードマップの作成支援を行うという。
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