「もう一つの横浜 金沢八景史」を著した 林原 泉さん 金沢区柴町在住 86歳
「金沢区は第二の故郷」
○…金沢区に住んで20年以上。「第二の故郷と言えるかも」。2000年に横濱金澤シティガイド協会へ入会してから、金沢区の郷土史を研究するように。本の出版は「20年間の総まとめ」と話す。11年に鎌倉や称名寺が世界遺産候補になった時から同会会員らと出版を企画。認定されなかったことで1度は白紙になったが、区制70周年を機に17年、再始動した。「長い歴史を持つ金沢は知れば知るほど面白く、のめりこんでしまった」
○…「梅狂いなんだよね」と笑う。きっかけは称名寺にあったとされる金沢八名木の「西湖梅」。中国・西湖畔にある本物を見るため現地も訪れた。「行くたびにどんどん興味がわいて5回も行った」と苦笑。区制60周年には西湖梅を地元に蘇らせようと輸入を試みるも検閲が厳しく断念。国内を探し回り、小石川植物園(文京区)で見つけた。交渉の末、枝を分けてもらい、泥亀公園に記念植樹した。「あと1回は西湖に行き、まだ見ていない協会の人たちに西湖梅を見せてあげたい」と話す。
○…戦後、米軍基地のある立川で学生時代を過ごした。進駐軍が身近で「軍人に誘われて教会に行ったことも」と懐かしむ。その経験から「英語での会話はそこそこできるかな」。当時、英語が話せるのは珍しかったといい、会社員時代は海外出張も任された。定年後、妻とパリに1カ月滞在したことも。「現地の人との交流が楽しかった」と振り返る。
○…昨年7月、大腸がんの手術をした。「出版目前で病気が分かり、大変だった」と話す。術後も食事制限など苦労が多い。協会員と交代で10年務めた関東学院大学での金沢郷土史公開講座の講師も体力的な面から今春引退。「バトンタッチした次世代に今後も金沢郷土史の研究を引き継いでほしい」
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