横浜市が募集していた「生命を脅かす病気の子どもと家族の療育生活支援施設」の整備運営事業者が、「NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト」に決定した。金沢区六浦東に神奈川県内初となる「こどもホスピス」が2021年夏ごろ開設される予定だ。
建設予定地は市所有の約730平方メートルの空き地で、平潟橋近くの侍従川に面し、近隣には関東学院大学がある。市はこの土地を無償で貸し出すとともに、開設から5年間、看護師の人件費(上限500万円)を補助する。同法人の代表理事を務める田川尚登さん(62)は「ようやく現実的に第一歩が踏み出せる」と安どの表情を見せる。
ホスピスは1階は鉄筋コンクリート造、2階は木造の混構造とした2階建て。津波浸水エリアを考慮し、給電施設を2階に設置する。田川さんが目指すのは小児がんや難病などを患う子どもやその家族が「普通の日常を過ごしながら心身の疲れがとれる施設」。日々、成長する子どもひとり一人の状況にあった遊びや学びのプログラムを提供するほか、家族で入浴できる大きな風呂や地域交流・遊びの場を設けるという。
施設の整備資金は、これまでに約1500人(団体含む)から3億を超える寄付が集まった。今後の運営も寄付で賄い、施設利用者の負担は実費のみの数千円を予定する。「安定した運営を行うためには、制度・補助金に頼らない仕組みを作らないと」と話す。
地域に開かれた場に
田川さんは子どもホスピスの活動当初から、金沢区での開設を願っていた。「海や山に加え八景島や動物園などもあり、横浜の中でも解放感にひたれる土地」。地域に開かれた交流の場として、地域人材を活用した取り組みも考える。
六浦東地区連合町内会と地区社協の岩崎建一朗会長は「予定地は5、6年空き地で物騒だったので、安心した。法人から申し出があれば、地域としても協力していきたい」と話した。
約20年前に当時6歳だった次女を亡くした田川さん。「娘にやらされている感じでここまで来られた」と振り返る。「あと一息だよ」――頭の中の娘の声に背中を押され、理想の施設づくりにまい進する。
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