木目調の外観と手描き風のサイン、デザイン性が高くカカオの品質にこだわった多種多様なチョコが並ぶ店内――。障害福祉サービス事業所でありながらおしゃれな雰囲気を実現した「QUONチョコレート横浜金沢店」が4月下旬、富岡東にオープンした。「市場価値のある商品」を販売し続ける”稼げる店舗”で、障害者の自立支援を目指す。
運営母体は社会福祉法人すみなす会。金沢地域活動ホーム「りんごの森」などの福祉事業を金沢区内で展開している。障害者の事業所が足りない現状を受け、3年ほど前から新規事業所の立ち上げを検討してきた。
立ち上げの責任者だった黒田彩さんは、「当初はパンカフェを考えていた」と話す。だがパンの製造販売するりんごの森の利用者の工賃は月平均2千円弱。「これでは、いつまでも自立できない」と行き詰っていた。
そこで黒田さんは昨年4月、障害者雇用の促進と店舗経営を両立するQUONチョコ(本店/愛知県豊橋市)を運営する夏目浩次代表にメールで相談。夏目代表と直接話す機会を得た。
稼ぐ機会与える
「重度の障害者が稼げるような仕事をするのは、無理なのでは」と思い込んでいたスタッフに、夏目代表の話は衝撃だった。「障害者もお金が欲しいはず。稼ぐ機会も与えないで”できない”というのは、福祉人としてどうなのか」と問いかけた。「でも、どうしたらいいか分からない」と涙を流して訴えるスタッフに、夏目代表は「教えてあげるよ」と返答。横浜南部エリアにQUONチョコの店舗はなく、横浜の生産量を上げたいと思っていたタイミングだったこともあり昨年9月、フランチャイズ契約に至った。
それでも「重度の障害を持つ利用者が、高品質のチョコを安定して作る」ことは、黒田さんらスタッフにとって高いハードルだった。レシピの工程を細分化し、利用者の能力を細かく再確認。「この工程は、この利用者に向いている」。そんな細かなマッチングを積み重ね、10人がチョコ製造に携わっている(定員は20人)。現在、本部の合格が出たのは、主力商品の「テリーヌ」3種。スケジュールを組んで、徐々に生産能力をあげていく予定だ。目指す利用者の平均工賃は3万円程度。黒田さんは「この作業所は、福祉のあり方を再考察するきっかけになった。今後も事業を通しすみなす会の理念を実現していきたい」と話した。
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