磯子区森の一般社団法人神奈川人権センターの理事長を務める 江原 由美子さん 西区在住 69歳
「当事者目線」が人権の基本
○…様々な人権課題に取り組むNGO団体などから成る神奈川人権センターの理事長を2005年から務める。「長年女性を中心に扱ってきたが、(同センターに関わり)他分野も知り、より見えるようになった」と話す。「人権問題はそれぞれ歴史や社会的背景があり、一般論で語ることはできないが、基本は当事者の視点を認識していることが大切」
○…高校時代にルース・ベネディクトの『菊と刀』を読み、文化人類学や社会学に興味を持った。「こういう風に文化を説明できる人になりたい」と研究者を志す。「すごい勉強」して、東京大学に入学。女性運動のサークルを作り活動したことも。博士課程で東京都立大の助手に就職し社会学を専門としたが、女性問題について書いた文が編集者の目にとまり本を出すことに。「それから女性に関する仕事ばかり」と笑う。
○…結婚、出産を経て横浜に戻ってきたのは81年。港南区に住む親の手を借り、どうにか仕事と子育てを両立させた。「大学は時間の自由がきくので、比較的働きやすかったが、やはり男性の世界」。ある日、先輩に言われた言葉は忘れない。「子どもが病気でも、自分が病気といいなさい」。子どもが主語だと「だから女は」とやゆされる時代。「私のために言ってくれたと思うが、何かおかしいなあと思っていた」
○…09年に首都大学(現東京都立大)の副学長に。女性用の更衣室や宿泊施設すらなく、「足りないことだらけだった」と振り返る。「多様性の視点」から、環境整備に力を注いだ。理想とする社会を問うと、「子育てと仕事が両立できる社会」と即答。「海外と比べればまだまだ。無理なく両立できる社会構造になれば」と話した。
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