久良岐能舞台の館長を務め、さまざまな企画を展開する 川井 康裕さん 磯子区岡村在勤 68歳
能への興味 記憶で導く
○…風情ある舞台と庭園を有し、伝統文化を伝える磯子区の久良岐能舞台。子ども向けの能楽体験から人間国宝による公演まで、初心者・愛好家問わず参加できる企画を展開する。「雰囲気や響きなど、ここの舞台は素晴らしい。それは演者も観客も、来てくれたら感じてくれるはず」
○…館長を務めて5年目だが、もともと能楽については全くの素人だった。敷地内を巡り、演者と交流することで「皆が褒めてくれる場所。地域にとって財産になる」と実感。少しでも多くの人に足を運んでもらおうと、クラシックコンサートなど古典芸能の枠にとらわれない企画を進めてきた。中でも夏恒例の「くらきナイト」は怪談と演出で、舞台や庭園がまるでお化け屋敷のように変貌。「能楽を知らないからこそ、好きなことができるのかも。お経が流れる中で生首が転がっていたり、けっこう怖いんだよ」。柔軟な考えで、観客を楽しませる。
○…かつてはミュージシャンとして、歌手のバックでキーボードを演奏していた経歴の持ち主。「ビートルズの音楽に衝撃を受けたね」と、中学から音楽にのめり込んだ。30年前に体を壊して表舞台から退いたが、仕事の縁からテレビの音楽・映像制作、コンサートのプロデュースも経験。「PR動画やポスターとか、何でもできるようになったよ」。培った技術を今の仕事でも生かしている。
○…「いいなと思ったらどんどんやっていく」と語り、古典芸能を基本にしつつも新たな事業も貪欲に進める。今年は能舞台での結婚式や横浜芸者のパフォーマンスも準備中。「ここでしかできない経験をしてもらい、記憶に残ってほしい。その先で能への興味にもつながれば」。能舞台の可能性を広げていく。
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