金沢区美術協会の会長を務める 山口 武夫さん 金沢区富岡西在住 83歳
「楽しさ」が活動の原点
○…「観る楽しみ・描く楽しみ・発表する喜び」を掲げる金沢区美術協会の会長に就任し3年目を迎えた。今年3月末には、過去最大の会員数となる120人を記録した。「全員が知恵を出し合い、出来ることを実施した結果。前会長の遺志をしっかりと継いで、原点の『楽しさ』を第一に活動していきたい」。11月に開かれる15回目の区民公募展に向け、会員一丸で準備を進める。
○…幼い頃から絵を描くのが好きで、戦時中に住んでいた北海道夕張市では近所の絵画教室に通ったことも。小1の夏に終戦。郷里の長野に引き上げることになったが、ようやく小学校に入学したのは11月だった。読み書きがほぼできない中、救いとなったのが図画工作の時間。よそ者扱いしていた同級生が「絵は上手いじゃないか」と周りに集まってきた。「絵があったから、存在感が出せてクラスに溶け込めた」と振り返る。
○…高校卒業後、上京し証券会社に就職。結婚を機に金沢区に移り住んだ。鳥浜町にある義父の会社に転職し社長まで勤め上げた。副理事長を務めた金沢団地協同組合の会報誌では、2005年から現在まで50回以上にわたって、自身が描いた水彩画が表紙を飾っている。料理も趣味の一つ。「手元にあるものでいかに美味しく作れるかが大事」という母親の教えを実践する。妻に先立たれた今、「料理をやっておいて本当によかった」と話す。
○…会社引退後、70歳で同会に入会。「言葉にしなくても価値観が通じる仲間が出来た」。水彩画に加え、アクリル画や油絵にも挑戦し作品の幅を広げてきた。「コロナ禍でも絵を描ける趣味があることで、救われたんです」とにっこり。多くの人に絵を描く楽しみを知ってほしいと願う。
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