関東近郊の陶芸家集団「東陶会」の会長に就任した 羽鳥 惠子さん 金沢区富岡西在住
大好きな陶芸を追求
○…金沢区富岡西に陶芸・絵画造形教室「工房惠霑(けいてん)」を構え、子どもから大人まで陶芸や絵画造形を指導。今年8月、陶芸家・板谷波山が設立し、90年超の歴史がある関東近郊の陶芸家集団「東陶会」の8代目会長に就いた。「皆で話し合い、勉強しながら会を盛り上げたい。若手の陶芸家にもぜひ参加してほしい。波山先生の作品のような品格と崇高さを目標に誰をも魅了して売れるようにも考えたい」
○…東京都出身。陶芸との出合いは約40年前。兵庫県で暮らし、自宅近くにあった滴翠美術館での陶芸教室に参加した。「陶芸はいろいろな工程があって面白かった。鑑賞だけでなく、器として『用の美』も楽しい」。当時は油絵のプロを目指していたが、陶芸にのめり込み、同館の陶芸専攻科へ入学。卒業後、女流陶芸の基礎を築いた荒木高子氏のもとで修業し、金沢区への転居を機に自宅に工房を開設した。夫をはじめ家族の理解もあり、3人の子育てや両親の介護をしながらも公募展等への出品を続け、朝日陶芸展などでの受賞歴も多数。日本工芸会の正会員にもなった。
○…工房では定期的な陶芸・絵画造形教室、陶芸体験を実施。過去には関東学院大学や現在の金沢総合高校で講師も務めた。「作品づくりで感性を磨きながら、いろいろな物の見方があると教えてきた。今でもたまに教え子が体験に来てくれる」と目を細める。
○…現在は主に「彩泥象嵌(さいでいぞうかん)」という技法で作品を制作。「窯出しの時はいつもドキドキ。割れていないように最後は神頼み」。昔からの技法や伝統を守りつつ、現代に沿った作品づくりに励む。「とにかく陶芸が好き。まだまだ狙っている賞もある」。伝統工芸を未来に伝えるためにも、制作を続けていく。