(一社)「減災ラボ」の代表理事で、横浜はじめ全国で防災・減災活動を続ける 鈴木 光さん 港北区在住 48歳
災害を「自分ごと」に
○…自治体や町内会などで防災・減災の大切さを伝える。2017年に仲間と立ち上げた法人の名前「ラボ」には、試行錯誤を行う「実験室」の意味合いがある。「災害対策は日常生活の延長なので『楽しく、頑張らない』が大切」といい、柔軟な発想を心掛ける。
○…建設コンサルタント勤務時の04年、新潟中越地震で犠牲者が出た家の倒壊現場を見て「被害が防げたのではないか」と感じた。退社後はフリーとして活動。東日本大震災後はボランティアを続け、岩手県大船渡市では、津波で被害を受けた家から写真や賞状を捜す活動を行い「日々の営みが一瞬で奪われ、これが災害だと思った」。中越地震の時にはどこか「自分ごと」ではなかった災害が日常のすぐそばにあることを実感した。
○…防災・減災の意識を定着させるには、子どもに知ってもらうことが重要と考え、小学生に自宅や周辺の災害リスクを地図にまとめてもらう「my減災マップ」を作る活動に励む。ある学校で2人の児童が自宅周辺の浸水や崖崩れの危険性を地図で確認し、「川があふれそうになったら、うちの家に避難して」と告げていた姿が強く印象に残る。「誰かを思いながら、災害を『自分ごと』にしているのがうれしかった」と笑顔。「防災・減災を子どもに伝えることは、未来の社会への投資」と力を込める。
○…港北区で生まれ育つ。趣味は音楽、サックスも吹く。能登地震以降、月1回は被災地へ。避難所にプレーヤーを持ち込み、美空ひばりさんなどの懐かしの曲をレコードでかけると、被災者が大喜びした。「能登の被害が忘れ去られているのではと感じる。ぜひ行ってみて」。災害を「自分ごと」にし、防災・減災を進めるための実験と試行錯誤が続く。
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