杉田劇場で上演された区民参加劇「ドリーマーズ」の脚本を書いた 菱倉 あゆみさん 南区在住 46歳
演劇は人生の”救い”
○…区民31人が出演し、杉田劇場開館6周年記念として上演された舞台「ドリーマーズ」。その脚本を担当した。自身の劇団以外に本を書くのは初めてだったが、「演出や役者さんたちがしっかり本を読みこんで、演じていたのがよく分かりました。本への愛情をひしひしと感じました」。そう語る表情は、お腹を痛めて産んだ脚本の成長を見守る母のように見える。
○…脚本を書き始めたのは、8年ほど前。アマチュア劇団員時代からの友人が、幼稚園のママ友と市民劇団『横綱チュチュ』を立ち上げることになり、メンバーとして参加したのがきっかけだった。「結成時には、4ヵ月後に行われる演劇祭への参加が決まっていて。役者の人数や公演時間の制約に合う脚本を探すより、自分で書いたほうが早いかと」。その作品が「おもいがけず」評判だったことから、役者と脚本家、2足のわらじを履くこととなった。
○…横須賀市出身。小さい頃は、崖登りをして怒られるようなおてんばだったいっぽう、人形を使って1人空想を巡らせる一面も。授業での音読が大好きだった少女は、中学高校で演劇部に所属。卒業後には劇団の養成所に入り、アルバイトをしながら劇団員として活動した。そのころ、何者でもない自分に不安を感じるようになり、手に職をつけようと、一念発起して看護学校へ進学。看護師として働きながら、アマチュア劇団で役者を続けた。
○…今は、夫と娘2人との4人暮らし。訪問看護の仕事と家事を行いながら、脚本家兼役者として劇団の活動に取り組む。「周りの人には、職業女優、趣味看護師といわれるんです」と、屈託のない笑顔で語る。「演劇は私にとって”救い”。生きていく上で起こるいいことも悪いことも、舞台の糧になると思えば、乗り越えられる。演劇がなければ、どこかで駄目になっていたかもしれません」。観ていて心が温まる物語。その源流を垣間見た気がした。
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