横浜市 特別支援教育の充実めざす 「教室不足解消」と「多様化への対応」で方針
横浜市は「横浜市教育振興基本計画」(平成22〜26年度)の素案に、特別支援教育の推進を重点施策として盛り込み、今年度中の策定を進めている。発達障害や情緒障害などを持つ児童・生徒の増加を背景に、障害の多様化に応じた教育内容の充実や、教室不足に対する環境整備が求められている。
市内における、特別な支援を必要とする児童・生徒は年々増えており、特別支援学校や個別支援学級の児童・生徒、普通学級に在籍して通級指導教室に通う児童・生徒の数は、21年度で7209人。背景にはこれまで顕在化していなかった発達障害などが認知されるようになり、特別支援教育の対象となったことなどが挙げられる。
市立小学校の個別支援学級で教える教諭は「児童の増加に加え、障害も多様化している。障害の度合いも幅広く、それぞれに合った指導が求められている」と、教室運営の課題を話す。
教室規模の4倍も
港南台ひの特別支援学校(港南区)は知的障害児童・生徒150人の施設規模に対して、受け入れ数は16年度で167人、21年度は177人だった。また、本郷特別支援学校(栄区)も同じく150人の施設規模に対して16年度で177人、21年度で176人を受け入れており、両校とも施設規模に対して約1・2倍程度の状況だ。
一方、県立養護学校の中には施設規模の4倍近い児童・生徒が通っているケースもあった。市内の県立養護学校の教諭は「特に高等部で生徒の増加が目立つ」といい、市では「これまで個別支援学級や普通学級にいた生徒も、高校ではより専門的な教育を求めている」と現状について話す。
学校新設で対応
こうした状況に対して市は、学校の新設や人材育成などを図り対応する方針だ。同計画の素案には、新治特別支援学校(緑区)を旭区若葉台へ移転し施設規模を拡大する整備計画や、狭あい化が進む中村特別支援学校(南区)の環境改善が盛り込まれている。また、昨年度末に再編統合した旧市立日向山小学校(瀬谷区)の跡施設では、県が特別支援学校の新設整備を進める。さらに、現在市内の19校に設置されている通級指導教室についても、増設に向けた再編・整備計画を実施するとしている。
一方、ソフト面では「自閉症教育の手引き」の作成や、特別支援教育コーディネーターの育成などを計画素案に掲げ、障害の特性に応じた指導体制の充実を図りたい考えだ。市は「県と連携を図りながら、環境整備や指導内容の充実を図りたい」と話している。
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