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港南区・栄区

公開日:2013.03.14

古文書に親しむ会
上大岡村の生活垣間見え
4年がかりで史料集刊行

  • 史料集を持つ田上さん

 古文書を読み、地域の歴史を学んでいる「古文書に親しむ会」が先日、横浜市歴史博物館に保管されている古文書「北見和夫家文書」を史料集として編集し、発行した。



 同会は2004年に結成。上大岡東在住で神奈川大学教授の田上繁さん(=今号人物風土記)が講師を務め、さわやか港南を会場に歴史に興味のある港南区、戸塚区、磯子区の住民が月に1度集まり、様々な古文書を読み進めている。今回発行した資料集はその活動の集大成として08年から取り掛かっていたもので、田上さんのほか、9人の会員が執筆し、300ページ超に及ぶ大作だ。



 レイアウトについても内容に証拠性を持たせるため古文書の写真を入れ、翻刻と読み下し文、さらに現代語訳も併せて掲載することで、古文書の知識がなくとも内容を理解することができるようになっている。田上さんによると、このレイアウトの史料集は全国でも珍しいという。非売品だが、港南図書館や学校などに寄贈している。



貴重な資料



 古文書「北見家文書」は、武蔵国久良岐郡上大岡村の名主だった北見家に伝わってきたもので、1675年から1870年までの史料。上大岡村の状況や人口のほか、さまざまな嘆願書など当時の生活が読み取れる貴重なものだ。例えば、領主の理不尽な要求に対しては、名主や組頭などの役職を辞してでも村側の要求を貫こうとする姿勢がうかがわれる史料もあり、領主権力の強さばかりではない実態が明らかになっている。



 田上さんは現存する古文書は個人宅に保管されていることが多いことを指摘した上で、同会のように古文書を解読できる人材を育てることが重要と指摘、今後の活動にも意欲を示している。



 一方、古文書の所有者だった北見家の当主、北見裕之さんは、史料集の発刊について「古文書は父(故和夫氏)が生前に寄贈したもの。活かしてもらい、史料集として残してもらったことに感謝している」と感想を述べている。

 

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