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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2014.06.12

市立野毛山動物園の長寿ラクダ「ツガル」の飼育員を6年務めた
櫻堂 由希子さん
西区在勤 28歳

動物に寄り添い続ける

 ○…「正直、まだツガルさんの死が実感できていません」とぽつり。通常2、3年で担当動物が変わるなか、先月天国に旅立ったツガルの飼育員を入園以来6年間務めた。「初めて担当したのがツガルさん。新人の私にとっては大先輩で、たくさんのことを教えてもらいました」。今年4月からは広報担当として動物園の情報発信に努めている。

 〇…ツガルの担当になった当初は「あまり元気とは言えない状態で不安だった」と語る。夏バテ解消のために毛刈りの時期を変えたり、食事にサプリメントを導入したりと試行錯誤。徐々に元気を取り戻したという。その姿を見てもらおうと日々の様子をブログで発信したほか、誕生日イベントなども企画。「高齢でかわいそう、という声が、がんばれっていう応援に変わったのが嬉しかった」と目を細める。

 〇…子どもの頃から生き物が好きで「つい道端のカエルとかを家にもって帰ったりしていましたね」といたずらっぽく笑う。小学生のころ、地元の金沢動物園で1日飼育体験に参加し、間近で見たヘラジカの大きさに感動。飼育員に憧れた。大学では動物生態学などを専攻し、在学中ながら野毛山動物園を運営する協会の採用試験を受け、見事合格。「募集は毎年あるわけではないので、このチャンスは逃せないと思いましたね」。大学最後の1年間は動物園で週5日働き、休日は卒業論文を執筆。周囲の理解と意志の強さで乗り切った。

 〇…金沢区の実家では犬や猫、鶏を飼い、近所でも動物好きとして有名だ。野生のカモシカの調査団体にも所属しており、年に2度は青森へ赴き野山を駆け回る。「今のところ求愛してくれるのはダチョウくらいですよ」と笑うが、その顔は充実感に満ちている。同園ではツガルの展示場開放なども行われる。「動物園は命について学ぶ場所。誕生や死、老いていくそのままの姿を見てほしい」と今後も動物に寄り添い続ける。

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