6月12日に5周年を迎える若葉町にある交流スペース「nitehi works(ニテヒワークス)」の代表を務める 稲吉 稔さん 中区在住 55歳
道は自分で開く
○…「日常の中に見過ごされている予想外で自由な発想を提案する」ことを目的に、元は金融機関だった場所をアートの視点を取り入れてリノベーションし、交流できるスペースを作った。これまでトークショーや交流会の場所としても貸し出しており、6月12日には5周年記念パーティーを同スペースで開く。
○…生れも育ちも横浜市。中学を卒業し、テレビなどの部品を作る父の町工場で働いた。20歳のときにその若さで父の会社を引き継ぐも、取引先の親会社が倒産。経営は厳しさを増した。会社をたたみ、電気店で修業した後、24歳で空調設備会社を立ち上げる。転機は28歳のときだ。いきつけのロックバーで働いていた女性が、井土ヶ谷にある美術学校「Bゼミ」に通っているという話を聞き、興味をもった。学生時代は美術が得意で、小学6年のときには漫画クラブの部長を務めた経験も。絵を描くのが好きだったこともあり、仕事を続けながら夜間コースに通うように。そこから美術家への道を開く。
○…95年に東京の青山で行われた、街ぐるみのアート展覧会に参加して、日常の中にアート作品を同居させることで、「個人の創造性を街に見つける大切さ」を学んだという。「アートを通じたネットワークを世界につないで、たくさんの眠っている価値を共有し、豊かさを再確認できたら世の中がもっと豊かになると考えています。生活の中にアートを取り込んでほしい」と、いまでは空き家やビルのリノベーションにアートを取り入れて「アップサイクル」している。
○…妻は舞台やテレビなどで活躍する女優の渡辺梓さん。交流スペースの共同代表を務める。3年前までは同スペースでカフェも運営していたが、ものづくりの拠点として特化するため、運営時間を短縮した。今後については、「日常の中で見過ごされている価値や発見を提供したい」と意気込みを語る。
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