「自分は大丈夫」８割でも危ない
「電話とったら負け」

　振り込め詐欺の被害が止まらない。中区・西区内の各警察署によると、管内の振り込め詐欺の被害件数は昨年とほぼ同程度で推移している。なぜ被害は止まらないのか、そこには「自分は大丈夫」という思い込みがある。

　内閣府が昨年、全国の18歳以上約１８００人に行った調査によると、「自分は被害にあわないと思う」と回答した人が全体の80・７％に上っている。

　この中で「自分が被害にあわないと思う理由」については、６割の人が「知らない番号の電話には出なかったり、不審な電話はすぐ切るから」と答えている。

　市内の銀行によると犯人に騙されて振り込みに来ているのにも関わらず、銀行内の詐欺啓発を見て「大変ねえ」と他人事のように話す女性もいるほどだったという。「まさか自分が」という思い込みが被害に繋がっている。

　神奈川県警察本部の犯罪抑止対策室は「振り込め詐欺の犯罪が横行していることは分かってはいるけれど、騙されている人が本当に多い。他人事と捉えている。いかに自分のことだと思ってもらうかが難しい」と頭を悩ませる。対策として行き着いた注意点が、左記の撲滅２本柱だ。この紙面を自宅の目につく所に貼り、怪しい電話が来た時には見返してほしい。

手交型が増加

　一番件数の多いオレオレ詐欺の中には、これまでの孫や息子を装ったもののほか、最近の手口としてキャッシュカード手交型の被害が増えている。

　これは、区役所や銀行、商品が高額である大手家電量販店や百貨店を名乗り、「あなたのキャッシュカードやクレジットカードが不正に使われている」と巧みに不安を煽った後、暗証番号を聞き出したり、自宅まで訪問しカードを騙し取る手口。第３者の仲介がないため、誰にも止められず犯行が進んでしまうことが多い。

還付金詐欺も

　そして７月後半頃から今まさに急増しているのが、有りもしない「還付金」があると騙す還付金詐欺。まずは区役所の保険課職員を名乗り「健康保険の還付金に関する書類を送っていますが届いていますか」などと電話がある。その後郵政職員や銀行職員を名乗る者から「還付金払い戻しの手続きを行います」とＡＴＭを操作させ、指定された口座に送金させてしまう手口だ。

　「ＡＴＭでは還付金の手続きはできない」。これを覚えておいてほしい。

留守電の設定を

　「自分は大丈夫だと思っていても、電話をとったら負け」と同対策室は話す。それだけ犯人たちの話術が巧妙だからだ。

　効果的なのは、留守番電話に設定すること。しかし、留守電の設定をしても、作動する前に受話器をとってしまうと意味がない。可能であれば、呼び出し音が鳴る前に留守電の機能が作動するものが良い。「留守電の設定は今ある電話機で可能。設定の作業が難しい場合は、警察署員が案内に伺うこともできます」と同対策室は話す。

　各警察署でまとめられた速報値によると、7月31日までの中区・西区内振り込め詐欺認知発生件数は42件（前年比＋11件）、被害額は約８２００万円（３署で前年同時期より増）に上っている。