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公開日:2021.04.08

「野毛」の街知る1冊に
地域の団体が発行

  • 野毛の街で本を手にする平出さん(左)と福田さん。表紙画は野毛大道芸でおなじみの森直実さんが描いた

 野毛地区街づくり会と野毛地区振興事業協同組合が共同で、野毛の歴史や文化、街の変遷をまとめた『横浜野毛 闇市から大道芸のまちへ』(A6判・105頁)を発行した。戦後の闇市から東横線廃線による衰退、大道芸での町おこし、若者の野毛ブームやコロナ禍が襲う現代まで、ピンチの度に地域一丸となって復活してきた野毛の姿が赤裸々に描かれている。両団体のトップを務める平出揚治さんは「街の歴史をまとめた本は初めて。野毛の激動を全て伝える1冊になった」と話す。

新旧住民の共通認識に

 制作のきっかけは、野毛に新しく建設されたマンションだ。

 野毛は大道芸など、音量や人出で住民に理解を求めるイベントが多く開催される。そのため、新住民にも同書を通してその歴史的背景や街の特異性を知ってもらい「これからの野毛の街づくりを共に目指す、共通認識にできたら」と考えた。2019年夏の構想から1年半かけ、今年3月に完成。同組合の専務理事を務める福田豊さんは「気軽に持ち歩ける文庫本サイズと、見開き1頁1話完結の読みやすさにもこだわった。チープなつくりが野毛らしいでしょ」と笑う。

 執筆は産経新聞の元記者である広瀬勝弘さんが担当。美空ひばりや長谷川伸といった文化人と野毛の関係や、8年半横浜で勤務した自身の記憶を辿った下町情緒溢れるエピソードも盛り込まれ、小気味良い文章で綴られている。全5章40話で、横浜市の主な出来事と共にまとめた年表や同書のみの掲載となる貴重な写真も見所だ。「横浜の中で野毛がどんなポジションにあったのかも知って欲しい」と広瀬さん。

 3千部発行。マンション住民や関係団体らに配布し、街づくり会(【電話】045・241・4500)で販売。330円。

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