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公開日:2025.11.17

オランダ在住・阿部加奈子さん
横浜の街に思い馳せ作曲
横浜MMホールが委嘱

  • 指揮を振る阿部さん=提供 ©藤本史昭

  • 初演の様子=同 ©藤本史昭

  • インタビューに応じる阿部さん

 オランダ在住の指揮者・作曲家の阿部加奈子さんが、横浜の街に思いを馳せて作曲したオルガン作品『風の睦び〜オルガンとオーケストラのための3章』が、このほど完成した。

 横浜みなとみらいホールが阿部さんに新作の楽曲制作を依頼した委嘱作品で、同ホールのパイプオルガン「LUCY(ルーシー)」の響きを生かして作曲された。

街の変遷を音に

 作曲にあたり、阿部さんは「膨大な”スケッチを取る”ことから始めた」と話す。阿部さんと東京藝術大学の同級生であり、同ホールのホールオルガニスト・近藤岳さんにオルガンのレクチャーを受けたり、横浜について歴史本や版画などで学んでいった。

 横浜について「短期間で発展を遂げた『ハイカラ』な街」という印象を持った阿部さん。

 作品では、時代ごとの横浜の街を管弦楽が表現する。例えば第3章では、船の汽笛や車のクラクション、祭囃子など、急激に近代化が進む様子が聴こえてくる。その街を見守り続ける風を日本語で「風琴」と言われるオルガンで表した。

 横浜の原初の情景からの街の変遷が描き出されている。

 また、同ホールの名前にちなみ、「ミ」の音から曲が始まるなど、細やかなこだわりが詰まった作品となった。

 11月1日には阿部さんの指揮で世界初披露された。近藤さんと、神奈川フィルハーモニー管弦楽団が演奏した。「横浜を愛する人々がいつまでも平和で幸せに暮らしてゆけますように」という阿部さんの思いが込められた作品が誕生した。

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