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公開日:2025.11.20
横浜市内寺院
大熊弁玉の長歌を屏風に
「貴重な史料」と南区の研究家
浄土宗三宝寺=神奈川区=は同寺の第21世住職だった明治期の歌人・大熊弁玉(べんぎょく)が揮ごうした長歌三首を、このたび屏風として仕立てた。
長歌は昨年、千葉県香取市の旧家で表装されていない「まくり」の状態で発見された。添書きに「横浜三宝寺 弁玉」と記載があったことから、同寺に連絡があり寄贈された。150余年前の揮ごうだが、シミや虫害もなく良い保存状態で、今後の保存活用を見据えて屏風に仕立てたという。
この長歌は「箱根温泉に遊ぶ歌三首」で、弁玉の長歌集「由良牟呂集」(ゆらむろしゅう)に掲載されている。司馬遼太郎記念館の前学芸部長で、弁玉を研究する増田恒男さん=南区南太田在住=は、「自筆の書が発見されたのは、非常に珍しい上、バラバラになりやすい状態で6枚揃っているのも素晴らしい。貴重な資料といえる」と話す。
激動の横浜詠む
弁玉は、開港当時の激動の横浜を詠んだ歌人。異人館が建ち、蒸気機関車が通り、ガス灯が灯る――日進月歩する当時の世相を庶民の視点で表現した。増田さんは弁玉の歌の特徴を「社会体制の急激な変化、開港場横浜の世情、文明開化の新事物、新言語などを巧みに捉えて、古体の長歌や短歌で数多く詠み込んだこと」と話す。記録文学としても高く評価されているという。
樋口芳宏住職は、弁玉の事績を知ってもらおうと散逸した史料を収集し2014年、寺の一角に史料を展示するコーナーを設けたほか、弁玉の命日に合わせて4月に「ゆらむろ忌」として講演会などを開いている。屏風についても「特別なタイミングで皆さんにお披露目することが出来たら」と話している。
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